そういえば、かなり前から「日本政府」というのは無かったのかも知れません。でも長い自民党政治の中で、なんとなく「政府」というのがあるような錯覚襲われていたような気がします。

 

でも、原発事故で「国民を守ろうとする政府」がすでにいないことがハッキリしました。かくなる上は国民が一人一人で自分と自分の家族を守らなければならない時代が日本にもきたということになります。

 

そこで、このシリーズ(三日坊主にならないように!)では、「政府無し、NHKがウソをつくとして、自分で考えて正解を見つける」という練習を「知識を増やさずに、今のまま判る練習」を目指したいと思います。

 

「知識がなければ正しい判断はできない」というのが普通ですが、どうも今の日本はそれ以前のことが多いように思うからです.知識は小学生でも良く頭を巡らすことができれば、かなりのことまで判るし、それから質問するとその質問もかなり的を得たものになるからです。

 

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解説者:「石油会社が確認している油田の量を「確認埋蔵量」と言うが、それはわずかに40年分なのだ。だから、確実な石油の寿命は40年で残りが少ない。」

 

視聴者:「えっ!あと40年しか無いのですか?! ところで、むかし石油の会社は大きくて「メジャー」と言われていたような気がしますが、大きな会社が油田を持っているのでしょう?」

 

解説者:「そう、かつてはセブン・シスターズなどと言っていが、今は、エクソン・モービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどを「スーパーメジャー」と言っている」

 

視聴者:「大きな会社ですから、歴史も古いんですね?」

 

解説者:「そうだ。ロックフェラーが作ったスタンダード石油が1911年だから、今年でちょうど100年になるな」

 

視聴者:「創立100年の会社なのに、これから石油が40年しかないということになると、会社が40年しか持たないのですから、不安ではないのですか?」

 

解説者:「ん? 会社が40年しか持たないって?」

 

視聴者:「だって、石油が40年しかないんでしょう? 石油が無くなったら石油会社は売るものがなくなるんじゃないですか?」

 

解説者:「えっ?石油が40年しかない? 何で?」

 

視聴者:「さっき、そういわれませんでしたか?」

 

解説者:「ああ、それは「確認埋蔵量」だよ。私は確認埋蔵量って言ったはずだが」

 

視聴者:「だって、石油はあと40年って言われたでしょ」

 

解説者:「慌てちゃだめだよ。私は「確認埋蔵量」の解説もしたはずだ。確認されている石油は40年っていうことだよ」

 

視聴者:「それじゃ、今から石油ショックの時に「石油があと40年」と言っていたのも「確認埋蔵量」ということですか?」

 

解説者:「そうだ。無くなるわけじゃない。」

 

視聴者:「それじゃ、石油が無くなって、そのスーパーメジャーとかいう会社が仕事ができなくなるのはいつ頃なのですか?」

 

解説者:「スーパーメジャーが別の仕事をしだしたということも聞いたことがないから、まだかなり先なんじゃないか。第一、スーパーメジャーは40年先の油田しか探していないし、もしそれで無くなるというなら先を争って探すから、かえって確認埋蔵量は増えるだろうから」

 

視聴者:「確かにそうですね。40年までしか油田を探していないということは、探せばすぐ見つかるという自信があるからでしょう。それにしても「石油が無くなるから節約しろというのはどういうことなのでしょうね」

 

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石油は探査を始めてから生産まで30年ぐらいかかります。でも、石油はたっぷりありますので、メジャーはギリギリにならないと新しい油田を探査しません。つまり、油田の候補地は多いし探査をし始めたらすぐ見つかるので、他の会社に先を越される心配もないからです。でも、この解説者はそれを説明するのを巧みに逃げ、日本人に「石油はまもなく無くなる」という錯覚を与えているのに成功しています。

 

こういう解説者を「頭が良い」と言うことがありますが、頭というのはそんなことに使うのですか?

 

・・・用語解説・・・

 

「確認埋蔵量」:すでに石油会社などが開発している油田にある量。寿命は40年ぐらいが普通で、40年前からずっと40年と言われている。

 

「究極埋蔵量」:確認埋蔵量などから推定した最終的に人間が掘ることができる石油で、その寿命は550年から600万年600万年であることに注意)。

「takeda_20120219no.430-(8:11).mp3」をダウンロード

 

(平成24218日)