●もしも子供が圧力団体を作ったら、農家の人が「一所懸命、作った野菜だから汚染されていても食べてくれ」というと、「とんでもない。汚れた野菜を食べさせるなんて!」と政治家に圧力をかけるだろう.

 

●もしも子供が圧力団体を作ったら、教育委員会が「1年40ベクレルの新基準を作っても、お金が無くて測定器が買えないから、1年500ベクレルに戻してくれ」と言うと、「とんでもない。もっとも良い機会でも300万円だ。学校の経費でできるじゃないか!」と申し入れるだろう.

 

●もしも子供が圧力団体を作ったら、担任の先生が「日光に修学旅行に行く」と言われたら、「とんでもない。大人の観光客が1日3000人だったのが、放射性物質が降ってから1日20人になった.つまり自分の意思では行かないところに子供たちを強制的に連れて行くのか!」と反撃するだろう.

 

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子供は圧力団体を持たない.でもこれまでの日本、「美しい国日本」はそのぐらいのことは考えて、子供の健康を守ってきた.

 

10年ほど前、キャラメルにホルムアルデヒドが混入した事件があった。もともとホルムアルデヒドは食品中に多く含まれるもので、たとえば、椎茸には200ppm、ほうれん草には20ppmも入っている.それがキャラメルに0.04ppm混入した.

 

この事件の時、マスコミは「たとえ、食品の500から5000分の1しか混入しなかったとはいえ、本来、あってはいけないものが入っているキャラメルを子供に食べさせることはダメだ」と毎日のようにキャンペーンをうち、ついにキャラメル600万ヶを捨てさせた.

 

あれは何だったのか? 相手が弱いと思って潰しにかかったのか、私には不誠実で、定見が無く、まるで弱いものいじめだけをしているように思う.

 

原発からの放射性物質が給食に混じることは「本来、あってはいけないもの」だから、記者が当時のままの考えなら、自然放射線の1.5ミリシーベルトの500分の1、つまり1年3マイクロシーベルトでも「とんでもない。本来、あってはいけない放射性物質は許せない」と毎日のようにキャンペーンを打たなければならない。

 

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そういえば、「東電が汚したのだから、東電が綺麗にしてください。私だって、他人の衣服を汚したら謝って自分でクリーニングに出します.それが日本の文化です」と言った主婦に対して、「そんなこと言うなら、電気を使うな!」と怒鳴り込んできた男性がいたという.

 

人は社会に役立つことをしている.電力会社も飲食店も同じだ。でも「社会に役立つことをしているから、犯罪を犯してもよい」とか「犯罪を犯した方が被害者を脅してはいけない」のは当たり前だ.主婦は東電の被害者であり、東電は犯罪を犯した.その主婦に向かって「電気を使うな」とはどういうことだろうか?

 

東日本大震災でも沈着冷静に行動した日本人。それが福島原発事故ともなると気が動転している.東電からのお金や政府の力に屈したのか、それともあまりの怖さに判断力を失ったのか、それが心配だ.

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(平成23129日)