「自然放射線が1年に1.5ミリもあるのに、武田は11ミリが限度と言っている。危険を煽るだけだ。自然放射線は日本人がいつも浴びているのに、それより低い被曝を問題にするなどケシカラン!」と言っている人が多いようです.

 

これが312日の爆発でにわか勉強した人なら仕方が無いのですが、専門家が言うのですから、法律(1年1ミリ)も知っていて、自然放射線と人工放射線の関係も良く理解しているのですからウソ(私がウソというのは本人が判っていていう場合)と言ってもよいでしょう。原発事故の時こそ、「日本人は今まで、1年1ミリの法律で守られてきたからこそ、被曝の被害が無かった」ことや、電力会社の作業員ですら、1年20ミリの枠を貰っていたのに、1年1ミリで自主規制をしてきたことを説明すべきなのです.

 

そして、私が心配しているのは、このようなウソに騙されて子供が余計な被曝をすることです。なにしろ自治体や教育委員会は「放射線は大したことは無いと思って、楽になりたい」という気持ちがあるので、それにつけ込んでいる専門家も障害予備罪のようなものです。

 

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最初にたとえ話をします。お風呂の温度は約40℃で、だれもヤケドをしません。ところがその温度に30℃を加えた70℃ではヤケドをします。30℃という温度は、40℃より低いので、「40℃でもヤケドをしないのだから、30℃でするはずがないじゃないか」というのが「自然放射線が1.5ミリだから、1ミリなどは問題では無い」という論理と同じです。

 

(温度、電圧などは専門的には示強性変数と言い、シーベルトは示強性変数と示容性変数(体積など)が含まれていて、厳密には同一ではありませんが、ほぼ同じとして取り扱うことができます。)

 

つまり、人工放射線が1.0であるということは、自然放射線の1.5ミリに1.0を加えるので、合計は2.5ミリになります。1.5より2.5の方が被曝量が多いので、そこで障害が出てもなんらふしぎではない・・・40℃ならヤケドをしないけれど、それに「ヤケドをしない温度:30℃」を加えれば70℃になってヤケドするということと同じです。

 

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今、小学館のガリレオ放談というネットテレビで「ホルミシス効果」・・・なぜ、人間は自然放射線は安全で、人工放射線は気をつけなければならないかということの原理原則を放送しています。この際、人間の防御ということを基本的に知るためにも、もしお時間があれば小学館のネットテレビに目を通していただければ思います.

 

専門家でありながら、ブラジルの自然放射線が高いとか、バナナは放射性カリウムを含むから大丈夫とか、一部だけを話して人間のガンに対する防御の原理原則の説明を割愛する人が多いのは実に残念です。

 

(平成23126日)