放射性物質は自然界にもありますし、私たち人間は被曝に対するある程度の抵抗力があります(ネットテレビ「ブックピープル」(小学館)参照。無料)。でも、その抵抗力を超えるとガンになります。

 

つまり、「被曝してはいけない」のではなく、「限界を超えてはいけない」ということで、それが11ミリです。特別な条件を除いて、ヨウ素も、セシウムも、ストロンチウムも、プルトニウムもそれは同じことです。

 

そこで、私の場合、1)事故後、間もない3月、4月には、ヨウ素を中心としてセシウム、ストロンチウムなどの被曝を考えて、「×4」という被曝を避ける計算をお勧めした、2)6月頃からはセシウムの被曝と内部被曝を中心として、1キログラムあたりのベクレルをシーベルトに変換するときに「100で割る」としたが、これはストロンチウムなどの被曝を考慮したもの、という方針でやってきました。

 

今年のような緊急時には、学問的な厳密さより、生活をしながらザッと見当をつけることが必要だったからです。その意味で、最近、話題になっているストロンチウム、プルトニウムの問題はどのように考えれば良いのでしょうか?

 

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3号機の爆発の画像をこのブログで再三、出していますが、プルトニウムを含む燃料を使っていてあのような爆発が起こっていると言うことは、ストロンチウム(沸点などが高く、セシウムより蒸発などでは出にくい)やプルトニウムが原発からかなりの量、出たことは間違いありません。問題はその量です.

 

どのぐらいのストロンチウムに注意すれば良いのかと言うことはまず「電離放射線障害防止規則」が参考になります。この規則は「労働者を守る」という明確な目的を持っていること、法律がコンパクトにまとまっていて普通の人でも見やすいという特徴があります.

 

この法律で、「これ以上は放射性物質として特に注意しなければならない」という量が「別表」という形で整理されています. それによると、1キログラムあたり、セシウム137なら1万ベクレル、ストロンチウム90なら10万ベクレルです。つまり、セシウムよりストロンチウムの方が10倍安全と言うことになります。

 

従って、現在、東京などで検出されているストロンチウムは量的には危険では無いことが判ります。またプルトニウムも同様です. つまり食材については「100で割る」で大丈夫ですし、空間からの被曝は注意を必要としません.

 

しかし、問題なのは海に流れたストロンチウムとプルトニウムで、このブログでもそれが最大の問題であることを書いています。その意味でサカナの骨にたまっていると考えられるストロンチウムが検出されるまで太平洋側のサカナ(静岡以北)は食べない方が良いと言うことです。

 

被曝を避けるのは、「大丈夫」でもダメで、そうかといって「際限なく注意する」というのも現実的ではありません。「限度」をハッキリ意識して、それを超えないようにだけ気をつけるのが健康を守るためのポイントです.

 

(平成23125日)