今から20年ほど前、日本は実に非科学的で、まるでヨーロッパ中世の魔女狩りのようなことが行われていました。その一つに「森林を守るための割り箸を使うな」という「マイ箸運動」でした。ちょうど、今の温暖化騒動のようなもので、「みんなで渡れば怖くない」ということでいい加減なことばかり言っていたのです。

 

その結果の一つが「スギ花粉のアレルギー」や今回の「スギ花粉の放射能」に繋がっています。少し傲慢な言い方ですが、当時の「非科学性」というのはまるで幼稚園児のようなものだったので、「大人が愚かになればそれが子供に影響する」といっても良いでしょう。

 

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日本は森林が3分の2もある世界でも有数の森林王国で、その豊かな森林を人間と動植物で利用しながら日本列島を作っていきました。かつて人間は動物とともに山野を利用しましたが、近代になって人間は計画的な植林をしてそれを使い、動物はドングリのなる自然林で暮らすという分担もできてきました。

 

もともと、森林の利用は、人工林半分、天然林半分が望ましく、人里に近いところに人工林を作ると、そこはドングリなどの木の実がないので、動物が人里に近づかないという利点もありました。

 

自然界における植物と動物の関係は、「植物がCO2を分解し、それを動物が利用する」ということになっていて、相互に生命を維持する仕組みになっています。その点では「自然のままの森林」というのは、人間のような動物が積極的に植物との関係を持つことでもあります。

 

つまり、スギやヒノキを植林し、枝打ち、間引きをして勢いのよい樹木を作り、それを伐採して利用するというのは「もっとも自然との共生を実現した状態」なのです。それは乱伐などとは全く違うのです。むしろ現在の日本のように、人が植林をしただけで、枝打ち、間引きをせず、伐採時期になっても利用しないのは、乱伐よりもっと自然を破壊しているのです。

 

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自然運動家は独善的で怒りっぽいので、批判が難しいのですが、自然運動家が日本の森林を破壊してきたのです。そして植林したスギの枝打ちや間伐ででる樹木を利用して割り箸を作ることを禁じ、細くなって材木にもならないので放置された高樹齢のスギからでる花粉で多くの人が花粉症になり、さらに今回、スギ花粉の放射能で被曝しようとしています。

 

私は善良な人でなりたつ誠実な日本を望みます。マイ箸運動を進めていた人は素直に森林の勉強が不足していたことを認め、花粉症で苦しんだ人に謝罪し、日本の森林と自然を守るためにこれまでの損害を回復するために行動をおこして欲しいと思います。老齢なスギの伐採を急げば、来春の花粉による子供たちの被曝を少しでも防ぐことがでいると思います。

 

(平成23121()