食材からの被曝を正確に計算し、今後の生活設計に活かす、「簡便で計算が可能な方法」を考えていますが、食材の汚染度(ベクレル数)が政府の妨害で示されていないので、もう少し考えます。でも、食材からの被曝計算は考え方が難しいので、とりあえず、考え方だけ先に示しておきます。
まず、「ある一つの食材だけが汚染されている」という場合と、「ほぼすべての食材が汚染されている」という場合の二つがあります。
「一つだけが汚染されている」という仮定は、原発事故のあと政府や東大教授が説明していたもので、ほうれん草が汚染されると、「ほうれん草は一日、平均して**グラムたべるので、汚染されたものを1年間食べ続けても**ミリシーベルトにしかならない」というものです。この場合は、説明の裏に「食材の内、ほうれん草だけが汚染されている場合」という注釈が必要ですが、それを省いているのです。
もう一つは、私が説明していたもので、「いずれ、多くの食材が汚染されるので、ほぼすべての食材が汚染されている」として計算するという方法で、これは「私独自の方法」ではなく、食品安全などで広くとられている考え方です。
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たとえば、農薬の規制というものを考えると、お母さんがスーパーに買い物に行き、ほうれん草を買うとします。そのほうれん草についている農薬が「他の食材にはまったく農薬がついていない」ということを仮定して決められていたとすると、お母さんはほうれん草を買ったら、他の食材は「規制値以下」ではだめで、「農薬ゼロ」だけしか買えないことになるからです。
つまり、ある農薬の摂取制限が赤ちゃんで1日1ミリグラムとして、ほうれん草だけで1日1ミリになるようなものが売られていると、それだけで一杯になるからです。このような規制は不可能です。つまりほうれん草だけ1日1ミリにして、小松菜はゼロ、大根もゼロということになると、「なぜ、ほうれん草だけ農薬が認められるのか」ということになり、またほうれん草が好きな人と、買わない人で大きく農薬の摂取量が違うことになります。
だから、毒物の規制というのは原則として、1日に買うものがすべて汚染されているとして規制値を決めるということになります。それで初めてお母さんは農薬のことを気にせずに買い物をしても子供の健康を損なうことはなくなるのです。
このようなことは少しでも毒物規制のことを知っている人は、十分に判っているので、政府、東大教授、NHK、大丈夫おじさんなどは「故意に人を被曝させた」と言えると思います。
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もう一つは「値」そのものです。私の4月、5月のブログに細かく書いてありますが、食材の内部被曝は預託実効線量というのを使い、50年間の被曝量を出すという面倒なもので、しかもセシウムやストロンチウムなどによって異なり、さらに厳密に言うと年齢、臓器の個人差なども考慮しなければなりません。
科学的にはそうなのですが、現実に毎日忙しく働いているお母さんにとってみれば、そんな計算をしている時間はありません。そこで、私は「1キログラムあたりのベクレルを100で割ると、1年のミリシーベルトになる」と言ってきました。これは被曝の主要なものがヨウ素とセシウムであり、そのほかにストロンチウムなどの被曝が少しあるので、セシウムだけなら130ぐらいで割るのが良いのですが、測定されていないストロンチウムや最初のころのヨウ素のことを考慮して、100でわることをお勧めしていました。
これに対して「NHKや大丈夫おじさん」などがゆるめの計算をしているので、迷う方もいるようです。
この説明は横浜市が「大丈夫市長」と「大丈夫おじさん」の連名で作った市民向けパンフレットで、水を含んで1年5ミリ、水を除く食材ではセシウムの内部被曝だけで年間4ミリシーベルトを基準にしています。そうすると、平均として1キログラムあたり425ベクレル((200+500+500+500)/4)としています。
これに対して私の計算では食材からの被曝を1年0.4ミリシーベルトとして、1キログラムあたりの基準を40ベクレルです。若干の差がありますが、これは私の計算がヨウ素やストロンチウムを考慮して少し安全側で計算しているからですが、ほぼ同じで、違いは1割程度です。
先日、初めて名指しで批判した流山市長や「順一」という人の場合、1)日本人を被曝から守ってきた現行法を無視している、2)食品安全委員会の1年5ミリも触れない、という二つのことを隠していますので、注意をしてください。間違った情報で子供を被曝させることはできないからです。
流山市長は私が間違っていると言われていますが、無責任なことを言わずに、具体的に何が問題かを指摘しなければなりません。私が人を批判しないのは、事実が問題で「有名教授の間違い」などと書くなら、その代わりに「どこが間違っている」とか、より積極的に「このように考えなければならない」と書く方が、流山市の子供を守るのに役に立つと思います。
さらに、国は1年5ミリの暫定基準を改定し、食材だけで1年1ミリとする方針を出していますが、これも中途半端で、国も早く遵法精神を思い出し、{外部、内部合計した実効線量が1年1ミリ}で実施してください。
(平成23年11月27日)