空間から被曝する量は外部の放射線の量(1時間あたりのマイクロシーベルト)に1年の時間、普通なら8760時間をかけて1000で割るとミリシーベルトになるから簡単なように見えます。たしかに、事故の最初の頃はなんといっても、「おおよそどのぐらい」というのが判れば、逃げるかそこにいて良いかなどが判断できました。

 

でも、これからの生活を設計するためにはもう少し詳細にわからなければなりません。最初のころは食材の被曝や土ホコリの影響が不明でしたので、外部被曝の計算に入る自然放射線などは除く必要は無かったのです。でも、今は汚染が拡がってきましたから、外部被曝から自然放射線の量を除き、それに食材などの被曝を加える必要がでてきました。

 

でも、ここで重要なことは、放射線というのはなかなか難しいものですから、厳密にやろうと思うと疲れて失敗することになりがちです。「完全にやろう」というのではなく、子供を守ることができる範囲で判れば良いぐらいの方が役に立つでしょう。

 

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まずは、この図を参考にしてください。

 

 

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自分の住んでいるところがおおよそ0.25(1時間マイクロシーベルト)なのか0.5なのかの検討をつけます。ちょうど、0.25と0.5の間の時には、「比例配分」というのをします。0.5の線に近ければ「0.4ぐらいかな」と見当をつけ、0.25に近いところなら「0.3あたりかな」と思うのです。

 

キチンとやる場合には、図を右クリックでコピーをして、それをパソコンの図として出して、拡大し、ご自分がお住みのところだけが大きく見えるようにします。そしてそれをプリントして定規で自分がお住みのところが線に乗るようにして0.25と0.5の間に線を引きます。そしてその線を5等分して、0.25の次が0.3、次が0.35、0.40、0.45、そして0.50と繋がるようにします。これで「有効桁 小数点以下2桁」になりますから、これ以上細かくすることはありません。

 

もちろんプリントしなくても目分量でだいたい決定できるでしょう。また0.125以下のところにお住みの方は0.125に近い場合は0.10とし、そこからかなり離れていたら0.08もあり得ると考えてください。でも関東から岩手までの場合は0.1がもっとも小さな値でしょう。日本海側、北海道、中部から関西なら0.08もあります。

 

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まず、外部線量の見当をつけたら、それから前回示した自然放射線の量を引いて、「福島原発事故で余計に浴びた外部線量」を計算します。つまり、{0.25(図から決めた外部線量)―0.04(自然放射線の量)}=0.21マイクロシーベルト(1時間) を出して、それに{8760時間÷1000=8.76}をかけますと、1.8396という数字が出てきますから、小数点3桁目の9を四捨五入して、1.84ミリシーベルト(1年)となります。

 

いつも「小数点2桁まで」と覚えておいて、それより下は四捨五入します。この場合は外部線量だけで1年1ミリを超えますので、栄養や転地なども考えなければならないでしょう。

 

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最初から細かく計算してはいけないのは、全部を計算してまた細かく見直す必要があるからです。科学ではこのような計算を第一次近似、第二次近似などと呼び、事実を知るには良い方法です。

 

また、3月は週ごと、4月は上旬と下旬、5月からは1ヶ月ごとに分けて下のような表を作っておくとこれから便利です。モデル表を作ってみました。

 

 

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表の「3月の1」と「3月の2」は避難した人は「避難前」と「避難後」になるでしょう。水と土ホコリのところは私の感じで入れておきました。外部の自然は先回の自然放射線の量を入れ、今回、地図から見た線量率を次の欄に書き入れ、それを差し引いて「外部線量差引」に書き込み、それに時間をかけて一番右端のミリシーベルトを入れます。それと水、土ホコリを合計すると食材以外の被曝がでます。

 

表の作成に慣れていない方はイヤになってしまうと思いますが、ここは頑張って間違っても良いから入れてみましょう。少しずつ慣れます(習うより慣れろ!)。

 

(平成231123日)