原発事故が起こる前、私はどちらかというと右よりの雑誌などに出ていました。ところが原発事故が起こって「原発撤退」という考えを書くと、私は左に押しやられたように感じます。

 

もともと、東西対立も無くなった現在、右も左もないと思うのですが、まだそのような分類があるようです。そしていわゆる右の論客の人たちに「原発賛成」が多いようですが、その理由の一つに「日本は原爆を持たなければならないから、原発は必要」というのがあります。

 

確かに、原発があって、ウラン濃縮設備を持ち、再処理技術を保有すれば原爆を作るのは比較的簡単なことで、その意味からは日本は実質的な核保有国です。だから原発から撤退するというのは同時に「潜在的核保有国から脱する」という意味にもなります。でも、本当に日本は核武装が必要でしょうか?

 

その前に、私が重視していること、1)日本の子供、2)日本の土地、3)日本のコメ、が原発で失われるので、それは「右」の人も賛成するはずです。 これまで人間が作った原発で、1)地震や津波で破壊しなかった原発はない、2)地震の起こるところに立っている原発はほぼ日本だけ、3)日本の原発・再処理は地震のないといって良いアメリカ、フランスの設計である、などについての意見も聞いてみたいと思います。

 

つまり、「右の論客」の人の多くが「原発支持」をしているのは、すでに7つの発電所が震度6ですべて壊れているというのは重視せず、今後は壊れないという視点に立っているものと思います。それ以外にも「これまで原発に反対してきた人は、訳のわからない左の奴だ」という気分もあるでしょう。都知事の「黙れ」の中にも私はそれを感じます。

 

・・・・・・・・・

 

戦後、60年を過ぎ、私は「核武装が必要」と考えておられるならそれをハッキリと表明した方が良いと思います。というのは、新聞などには決して「核武装賛成論」が出てきませんが、国の委員会などでは「核武装が必要なのだよ、結局」などと耳打ちされることが多かったからです。

 

「日本に核武装は要らない」と私が考えるのは、「日本兵ほど世界で強い兵士はいない」というのが持論だからです。日清戦争(日露戦争ではない)の時の旅順戦、ガダルカナル玉砕戦、硫黄島殲滅戦、そして千島の占守島守備戦などで見せた日本兵士の強さには他国の将校はビックリしたものです(日本軍は特に兵士が強い)。

 

その経験は日本を取り巻く強国、アメリカ、ロシア、中国に深くしみこんでいますから、日本を侵略する国はありません。むしろ平時の日本人は穏やかで譲りやすいので、戦争を仕掛けるより平和を維持して外向的に日本をやっつける方法をとるでしょう。

 

「核」は抑止力として有効と言われていますが、かつての日本兵の強さの方が核より抑止力があるというのが私の考えです。その意味では今回の大震災における岩手、宮城の人たちの我慢、地震と原発に見舞われた福島の人の克服力、そして「痛みを分け合う」といって自らが犠牲になって被曝する日本人を見て、さらにその感を強くしたと思います。

 

もし、右の人が、1)原発は地震に耐えられない、2)日本の子供、土、コメが大切、3)日本兵は強い、ということに同意してくれたら、右も左も原発廃止に向かってくれると思います。

 

(平成2311月9日