● 福島県に接している宮城県があまり汚染されなかったのに、岩手県の一関や平泉が汚染されたので、そこに住んでいる人たちに注意して貰いたいと思ってテレビで発言したら、ひどいバッシングを受けた。バッシング自体は仕方ないと思ったけれど、東北の新聞は一斉に「武田はケシカラン」という論調を張ったことにはやや驚いた。

 

東北の新聞は東北の人の健康を心配していると思ったら、それより農作物の出荷を気にしていたらしい。東北の汚染された農作物をすべて買い上げても、1年の原子力予算の10分の1にも満たないのに、原子力予算を東北に引き出すことと逆の方向に進んだことは残念なことだった。

 

一関の市長さんや議会からの抗議を受けた。立場からもその気持ちはわかるが、その後、セシウムで汚染された一関のウシが出荷停止になったり、基準を大きく超える線量が一関の中学校で見つかったりした。除染に国のお金を導入する方向ではなく、私の発言が逆の方向(大したことはないから、なにもしなくても良い)に進んだことも残念だった。

 

そんなこともあって、その後、岩手が何となく気になっているが、ここに3つの情報を取り上げてみたい。それぞれ本来は岩手の人が郷土や子供たちを守るという意味で重要で、かつなかなか難しい問題だ。

 

 一関の高濃度放射線下の中学生の死亡

 

一関の中学校でかなり高い線量を出していた学校で、中学生が死亡したという情報がある。まずはこの情報が事実かどうかがわからないし、一般的な病死は中学生にもあるから、それが被曝に関係しているかもまだ判らない。

 

教育関係者、行政は「プライバシー」ということで事実自体を公表しない可能性があるし、テレビや新聞も報道するかどうかは不明である。これがインフルエンザなら生徒の名前はふせるだろうが、事実は必ず公表するべきだ。

 

でもことが被曝と関係しているので、怖がって報道しない可能性がある。もし本当に中学生の死亡という事実があったら、何らかの手段で公表し、その原因についても被曝とは無関係であることを示す方が良いだろう。中学校の名前も個人名も伏せることは十分にできるからだ。

 

  岩手の汚染状態について、斉藤さんが様々な視点からグラフを作っておられる。

 

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このマップもその一つだが、早川先生と岩手大学の測定値をもとに福島原発からの放射性物質が岩手の中でどのように拡散しているかについてのものである。

 

これを見ると、福島から岩手へは2つのルートが考えられること、北上川にそって北上して盛岡まで達したことが判る。女川が独立に汚染されていることから、女川原発からの放射性物質の漏洩についても注意が必要だろう。

 

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人間が他の動物より断然、強いのは「知は力である」という原則があるからだ。情報が正しく、細かいほど危険から逃れることができる。そのために私たちは公共放送、民法、そして新聞や雑誌という社会システムを持っているのだが、今回の事故ではそれが逆方向に働いたとも感じられる。また、私たちが多くの税金を払って仕事をして貰っている役所はどうやら「特定利益団体の出先」になってしまったからだ。

 

そこで、ネットなどを活かして、今後も多くの人が情報を交換することが大切だろう。

 

(平成231028日)