私はこのグラフを見ると哀しくなります。2000年以来、「成人男子で原子力発電所に勤めることを自分の意志で決めた従業員」に対して、電力会社は「1年1ミリの被曝」に抑えるために約2倍の従業員を雇用しているのです。
なぜか? それは1年1ミリに制限しないと従業員の健康が損なわれ、社会の批判を浴びるからです。このことを進めてきた当の本人・・・東電・・・は文科省大臣が「福島の子供たちに1年20ミリ」としたときに声をあげないのです。
もし人間としての誠意があったら、「それはダメです。私たちでも成人男子で自分の判断で働いている人でも1年1ミリにしてきたのです。まして福島の子供たちは被曝の感度が3倍高く、強制的に被曝しているのです。是非1年1ミリ以下にしてください」と叫ぶはずです。
でも、実は東電の人は二面性を持っているのです。・・・世間がうるさいし、従業員を増やしても電気料金をあげれば良いのだから、従業員は1年1ミリにしよう。でも福島の子供たちが病気になるかどうかなど自分たちに関係が無い・・・ということです。
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私はこの二つの通達と法律を見て哀しくなります。これまで経産省(原発担当省)は常に「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」として大臣通達を出し、原子力関係者は医師も含めて「被曝は少ない方が良い」と繰り返し、法律まで作ってきたのです。
それなのに原発事故が起こると自分たちの責任を減らすために、NHKと共同して「1年20ミリでよい」、「福島に住んだ方が安全だ」、「被曝をすると元気になる」と言い出したのです。NHKも原発事故まで「法律を守るよい子」の放送をしてきましたが、それは単なるカモフラージュだったのです。
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誰もが東電と同じです。子供の将来などまったく心配せず、自分がかつてどう言ったかも隠し、その時(事故が起こっていないとき)、その時(事故が起こったとき)で自分の都合の良いように言っているだけです。
こんな人たちが日本を指導しているのは、「出された問題に答えることがうまい人が東大に行く」という社会を作ってしまったからです。日本人の大切な能力は「誠実、礼儀、信義」などであり、まったく違った人が指導していることに原因があります。今の教育は「その場限りの言い訳のうまい人」を選別しているのですから。音声あり。
(平成23年10月27日)