2011年10月18日、テレビや新聞は国が事故から7ヶ月たってやっと「除染」というのを進めることになったことを報じていた。テレビでは5,6名の作業員が民家らしきところ屋根を高圧水洗浄していた。

 

マスコミの一部はこれを「大規模除染、始まる」と報道していたが、まったく事実に反する。計画では5年間で11万戸だから、1日わずか60軒、それも全国から土建屋さんなどの応援を得てやるのではなく、市などが業者に委託したり、ボランティアを募ったりする。

 

本来、除染は雨の降る梅雨までに1万人規模で機械を使って除染し、その後、細かく市街地や森林をするのが当然で、汚染されてから7ヶ月後から5年にわたって除染するなど、すでに初期被曝を過ぎていて被曝を大幅に低減するという意味での「除染」には入らない。

 

原発事故が起こってから日本の政府、自治体、大学教授などの「順法精神喪失」が目立ち、それを国民も支持しているように見える。もともと放射性物質をこぼしたら法律(規則などを含む)に書いてあるように「こぼした会社が直ちに片付ける」ということであり、あまりにも当たり前だ。

 

人の苦しみを見て平気なのは東電ばかりではない。爆発した原子炉を作ったメーカーから大学に移った教授が「放射線を心配するから家庭不和になる」と言っていた。自分たちが作った原発が爆発したのに、なんということか! そのメーカーは責任をとって重役退陣、従業員は総出で除染を行うべきだ。自分が関与した原発が爆発して多くの人が苦しみを味わっているのにどういうことだろうか。だから除洗が片手間になるのだ。

 

福島の子供たちが可哀想だ。今からでも遅くないから、除染の規模を大きくし、舗装道路2ミリ、土5ミリを基準としてしみこんだ放射性物質を取り除き、福島の地を安心して住めるようにするのは原発を推進した政府と国民の責任である。

 

東電以外の関係の会社も挙げて機械を調達し、人間を派遣して福島の除染に協力すべきである。自分たちの装置で多くの人を苦しめておきながら、「心配するから不幸になる」とは、何という原子力関係者なのだろうか。

 

世田谷、足立区など数マイクロシーベルトの放射線量が発見されると「東京だから」ということで翌日には片付け、福島は1年近く掘っておくことになる計画では、この際、政府を福島原発の傍の避難地域に移すしかない。またこの際、新しい原発を動かす場合には「消費地の近く」を原則にし、徐々に柏崎原発を東京へ移動することが必要である。

 

(平成231020日)