被曝によるガンなどの発症は、早くても4年、普通は10年はかかります。日本はここ20年、一貫して「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」として来ました。これには、政府ばかりではなく文部科学省、専門家が総出で決めていたことです。もちろん、今、1年100ミリと言っておられる医者の先生も数値の決定には参加しておられます。
このように政府や専門家が動揺している時ですが、私たちはどのように考えたら良いでしょうか?
つまり、1)今まで1年1ミリが被曝限度と言っていた「偉い人」が1年20ミリまで大丈夫と言っている、2)被曝によって体の異常が起こるのは早くて4年、普通は10年で将来のことだから今すぐ判らない、3)あまり辛いことはできないけれど、できる範囲では家族の健康を守りたい、この3つを納得して行動し、安心した生活を送りたいものです。
自分が納得でき、10年後に反省しなくても良い方法を決めるもっとも大切なことは「医学的に判っていない」ということをしっかり頭に入れることです。医学的に判っていないということは10年後の状態は「神様しか判らない」ということです。ドイツは1年0.1ミリ、世界と日本は1年1ミリ、文科省は1年20ミリ、ある海外の物理学者は1月(1年ではない)100ミリ・・・こんなに離れているのですから「本当は1年何ミリまで安全」などと断定できる人がいるはずもありません。
10年先のことで、しかも医学的に不明なのですから、神様しか判らないのです。それを文科省や自治体のお役人、NHKなどがいくら「大丈夫」と言っても「大丈夫の根拠」が無いのは誰の目で見ても明らかなのです。
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そこで、私は次のように考えています。 「どのぐらい被曝したら子供が可哀想なことになるのか本当なところは誰にも判らない。でも事故前と同じ状態なら何が起こってもあきらめることができる。それ以外の場合はあきらめられない。だから、事故前の状態をなんとか頑張る」ということです。
もし、1年1ミリ以外の基準があるなら、それは事故前に21年間も余裕があったのですから、変更されているはずです。かりに1年1ミリ以外の数値を言うなら、当然、専門家でなければなりません。そして専門家なら1年1ミリの決定に関係していますから、まず「私は誤っていました。どこを誤っていたかというと・・・」と説明してからでないと、同じ人が2011年の1月には1年1ミリと言い、4月になると1年100ミリになるのですから、それは信用おけません。
よく「安全・安心」と言い、「安全」と「安心」は違うと言います。1年何ミリか誰にも判らないのですから、「安心」するには「事故前の状態」以外にはあり得ないのです.その点で、自治体のお役人、学校の校長先生、マスコミは日本人の心を不安にする言動にはくれぐれも注意して「1年1ミリ」以上は危険とハッキリしてください。
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ところで、決定的な「二枚舌」をすこし紹介しておきます。資料の最初のものは経産大臣が発電所の放射線による被曝限度を通達したものであり、ハッキリ1年1ミリとしてあります。これほどハッキリ書いてあるのに「1年1ミリなどと危険を煽っている人がいる」などと言えば、不安を煽るだけなのは当然です。断固として1年1ミリを貫けば安心は拡がるでしょう。
2番目のものは、「成人男子」で「原発作業員」の被曝の推移です。グラフでは1980年からプロットされていますが、折れ線の方が「被曝線量」です。国際的な研究もすすみ、作業員は1年20ミリの許可を得ているのに「それでは危険だ」ということで最近ではほぼ1年1ミリに落としてきています。電力会社としては1人の作業員で20ミリまで被曝できれば人件費が減るのに、その20分の1で運営をしていたという実態がわかります。子供が成人男子の3倍の感度を持つと言われているのですから、原発関係者も「1年1ミリを守る」と言ってください。
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信頼できる政府、信用できる人というのは「何か不都合なことが起こっても言うことは変わらない」ということでしょう。そして人間は相手を信用できなければ安心できません。
また、福島を中心とした汚染地域で収穫される農産物の出荷額は700億円程度と見込まれます。それに対してやってもいないリサイクルに4000億円も出して1万人の利権者に配るということをしているのです。当面、リサイクルを止めてその4000億円を福島の除染と農作物の補償にあてても良いし、原発関連予算5000億円を足せば、1兆円規模の予算を組むことができます。そうしたら、日本の子供は被曝することなく、福島の除染はすでにすんでいたでしょう。
感情的になって「東北の人の心を傷つけるな」などと言わずに、大人は強い精神力で子供を守ってください。お金を投じて綺麗な大地を取り返すことができるのですから、そちらに向かって欲しいものです。
(平成23年10月19日)