(読者のかたのご質問があるものから少しずつ書いていきます)

 

1) 医者の診察と判断

 

お医者さんは医師の国家試験や放射線医の勉強をしている時には「一般公衆の被曝限度は1年1ミリ」というのをご存じですが、長く医師をやっていると患者さんの診断を独自にしますので、法律の制限などは忘れている先生も多いようです。

 

先日、「1日200回のレントゲンまで大丈夫」と言われた先生がおられましたが、それは医療の必要性からお医者さんが特別に判断する場合です。お医者さんは必要があれば両足を切断手術することもあるのですが、だからといって健康な子供の両足を切断して良いというわけではありません。その点ではお医者さんの発言の自制を求めます(お医者さんも法律は守ってください)。

 

また、「鼻血、下痢」など放射線障害として認められていない症状について、お医者さんにお聞きしても無理と思います。お医者さんは独自の判断や治療はできません。あるお医者さんが「風邪を治すには右腕を切れば良い」と思っても、その通りに治療したら困るのです。医学会が認めた治療法以外は原則として医師は判断も治療もできません。

 

その点では低被曝量における症状と治療について、医学会はより積極的に緊急の学会を繰り返し、多くの人の鼻血、下痢などの症状に対してより積極的なカウンセリングと治療を行って欲しいと思います。

 

4) 専門家は法律を破るのを勧めても良い?それともお金??

 

3月12日以来、特に放射線防護の専門家が積極的に「法律違反」を国民に勧めているのが残念です。非常時で法律を破る必要がある時には、政府がその理由を十分に説明した後でないといけないと思います。

 

「被曝は少ない方が良い」、「一般公衆の被曝限度1年1ミリシーベルト」や「表面汚染の1平方メートルあたり4万ベクレル」などは法律で守らなければならない基本的な数値ですが、いとも簡単に「瓦礫を移動させて良い」、「1年20ミリでも大丈夫」とか「表面汚染は大したことがない」と発言する専門家が多くなりました。

 

 

e2f3986f.jpg

 

ここに示した名簿は名前は除いてありますが、3月11日まで日本の放射線被曝についての国の基準を決めていた人たちの一例です。これらの組織の人は3月11日までと12日以後でどうして判断を変えたのか、政府からどのような指示があったのか原子力基本法の「公開の原則」に従って、明らかにすべきです。

 

また、日本は法治国家ですから、法律に反することをある行為に直接結びつく形で行うとき(たとえば自治体から判断を求められて「大丈夫」という時など)には、「私の発言は法律に違反している」ことを明示しなければならないでしょう。

 

2) 化学反応で放射線が消える?

 

すこしでも被曝を減らしたいという切な望みにつけいって「化学反応や生物的な効果」で被曝を減らすことができるという宣伝が後を絶ちません。その中には当人が錯覚しているものもありますが、同時に詐欺まがいのものもあります。

 

「放射線を出す元素」は化学反応や生物的な効果で無くなったり減ったりすることはありません。「酸化すると無毒になる」、「この酵素を使うと被曝が弱くなる」などは少なくともこれまでの学問では否定されていることです。当たり前のことですが、できるだけ被曝を避け、健康を保つことが大切です。

 

3) 除染しても効果がない?

 

除染は4月にやるべきでした。最初はべとべとした「死の灰」も軽く地表に乗っている状態なので、水はぬれぞうきんで除染できたのですが、梅雨を過ぎ、半年も経つと、コンクリートの小さな亀裂に入りこんで除きにくくなっています。

 

だから除染しても効果は4月の3分の1ぐらいになっているようです。それでも除染しなければなりません。被曝はマイクロシーベルトに時間をかけますから、早く除染すればそれだけ効果が高いからです。

 

そのかわり、昔より「ゴシゴシ」と拭いたり、高圧水を使って丁寧に洗ったり、樹木の葉を落としたり、雑草を刈ったりすると効果がありますし、この際、年末に向けてベランダの手すり、裏口の格子の窓のサン、雨樋の中など4月、5月には手の届かなかったところをチャレンジするのも良いと思います。

 

4) 衣服を出すときに

 

春はまだ知識がなく、外出した時の服をそのまましまってある場合、洗濯できる物は洗濯、ブラシをかけることができるものはブラシなどで丹念に放射性物質を落としておくと良いと思います。そろそろ冬物を出す時期ですから、3月を思い出すのも有効です。私の家は玄関の線量が高いのですが、私の靴の裏と思います。時々、デッキブラシでゴシゴシやっています。

 

被曝を減らすのは「自分の身の回りから遠ざけること」が大切で、東京の下水の汚泥から高線量がでたことがありましたが、実に喜ばしいことで、かつて都民の方の傍にあった放射性物質が下水に流れ、まとまったのですから処理も大幅に簡単になります。

 

(平成231010日)