「放射線なんて何でもないよ」と言えば粋(いき)に聞こえ、「子供の被曝を少しでも避けたい」というとモンスターと言われる昨今、この雰囲気はいわゆる日本の「空気」であり、それは今までも作られ、多くの人が被害にあった歴史でもありました。

 

しかし、いつの世でも「普通のこと」をそっと片隅でやっている人たちも大勢おられるのです。やがて「幻想としての空気」を作った人たちは人生を失い、普通のことをやり続けていた人が残るものです。かく言う私も多くの方からの励ましで元気を取り戻し、確固たる信念を失わずに活動を続けていきたいと思います。読者の方からのうれしいニュースもあります。週の初めにあたって、改めて決意をしたいと思います。

 

・・・・・・・・・うれしいニュース・・・・・・

 

一つは東京の食材を扱っている方からのメール:「検査システムを構築したことにより、国産原料(福島県産含む)の商品については その約85%については放射性物質が不検出(約1Bq/kg未満 放射性ヨウ素とセシウムの合計)、検出は約15%で、検出レベルは1から10Bq/kgです。現在はおおよそ、この水準で商品管理をしています。」

 

すばらしいですね。そして本質を突いています。まったく汚染されていないもの85%、10ベクレル以下のもの15%ですべてOKです。まったく心配のない食材を扱うことはできるのです!

 

確かに福島と北関東は汚れましたし、除染が第一ですが、汚染されないように食材を作り、若干汚染されているものでも10から20ベクレルをまもることができるでしょう。

 

このような食材店こそ、昨年までも「消費者のために」という精神を持ち、今後も一貫した人生を送られることでしょう。

 

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次にお米を作っている宮城県の方からのメールです。

 

「4月よりホームページで土壌のベクレル公開をやっています。昨日は玄米の1回目の検査データが出ましたので公開しました。検出下限値は0.6ベクレルです。もちろん検出されました(134Csが1.2、137Csが2.0でした)。

 

0でない以上、安全ですとか、安心してとかはおしつけませんが、武田先生のおっしゃる通り、数値を明確に示すことで、信頼と安心感が得られると考えています。皆さん野菜の数値は低くても公開しますが、米はビビッているようですね。数値が分かれば、自分はそれをどれくらい食べられるかとか計算できると思うのですけれど。もう少したてばこういう動きももっと出てくるのではないかと思います。」

 

この方は推察するところ、福島原発の前から「安全なものを消費者に」というお考えで農業を続けられてきたようですが、今の流通の方もこのご立派な信念を少しでも学んでいただきたいと思います。

 

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またかなり前のことですが、5月に2つの農業関係者からメールをいただきました。一つは福島南部の酪農家、一つは福島北部の農家でした。

 

お二人とも「ゼッタイに汚染されたものは出さない。今はどうすればよいか、見当もつかないが出さない」というメールでした。それは大変なことと思いますが、食品ですから出荷するということは「子供が食べる」ということですから、農家の方の覚悟のほどは頭が下がります。

 

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私は今回のことで、表現はあまり良くないのですが「セミの抜け殻のような人」と「人間としての心を持っている人」が見えたような気がします。たとえば、文科省が言った「子供1年20ミリ(レントゲン400回)被曝させる」と決定したとき、それが「万が一には安全」かも知れません。しかし、「万が一には安全かも知れない」という被曝を子供にさせるとき、心が痛まなかったのでしょうか?

 

確かに原子力発電を止めると電気や日本の経済が心配かも知れません(私はそうは思っていませんが)。でも、日本は世界でもっとも「対外資産」を持っている国ですし、「円高で困る」というほど他国から見ると安定した経済のもとにいます。

 

そんな豊かな日本の中で、なぜ子供を助けてやれないのか、少しでも安全な場所でのびのびと生活をさせないのか? あのソ連ですら、事故の次の日にはバスで安全な場所に連れて行き、さらに夏休みには林間学校を開いたのに、日本は1年1ミリから1年20ミリにあげて逆方向に行きました。今でも福島は大人1ミリ、子供20ミリなのでしょうか? 実に情けないことです。

 

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将来、なにも知らなかった子供が一人でもベッドに横たわってはいけない。その時の親の苦しみを感じることができない「抜け殻」になった人は指導者という地位からから下がってもらいたいと思います。

 

(平成23926日)