「コープこうべ」という流通会社がありますが、リサイクルの頃からいろいろ環境に対して発信されていて、私も何回か「コープこうべ」の考え方を知ったことがあります。福島原発のことでも商品の汚染度を測定しているということで少し調べてみました。まず、独自の測定ですが、それについて次のように説明しています。

 

(コープこうべの説明)「商品検査センターが行なう放射性物質の検査は、既に産地やメーカーで検査され国の基準に基づいて市場に流通している商品を、コープこうべが取り扱うに当たって、改めて安全性の確認をするために実施するサンプリング検査(抜き取り検査)となります。」

 

産地やメーカーで放射線量を測定しているものを、確認するためにコープこうべでもう一度、抜き取りして測っているというものです。流通が産地の測定値を鵜呑みにせず、それを確認するのは流通の責任として重要でしょう。

 

私もなにかをするときには「言い訳はしない」という考えなので、時々は間違うことがあっても、基本的には自分で調べて自分の責任として発言したり書いたりするタイプです。何かを指摘されたら「それは誰が言った」というようなことは言わず、自分の発言は自分のものとして謝るということでやってきました。

 

しかし、この後のコープこうべの説明は私の考えや行動とかなり違います。

 

(コープこうべの説明)「検査の結果、 極微量(たとえば国の暫定規制値の10分の1)の放射性物質が含まれていることが判明した場合、その数値を公表しますと、「放射性物質が含まれている」という情報だけが一人歩きして、その商品の産地やメーカーに対する不安を印象付けることになり、風評被害につながるおそれがございます。」

 

この数行の説明が私の考えでは現在の不安を創り出しており、政府、自治体、流通、生産者、メーカーなどの考え方です。本当にこの説明はコープこうべに買い物に来る人たちが安心するものなのでしょうか?また、説明は十分なのでしょうか?

 

まず、国の暫定規制値の10分の1を「極微量」と表現していますが、食材に関して国の暫定基準値は、「セシウムだけで15ミリシーベルト」です。しかし、日本の法律では外部線量と内部実効線量を足し合わせて11ミリシーベルトですし、セシウム以外の放射性物質がありますから、コープこうべがお売りになるような食材だけなら1年0.2ミリシーベルトぐらいが自主規制になるでしょう。

 

つまり、基準値の25分の1以下ならお客さんに迷惑をかけない量と言うことになります。だから、国の基準値の10分の1だから「極微量」という表現はお客さんの健康を守るという意味で、流通を担当するコープが容易には納得できない数値のはずです。

 

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次に、「数値を公表すると不安を煽る」という考え方ですが、コープこうべに買い物に来られる方は、小学校も出ておられないのでしょうか? 日本の義務教育というのは数値の見方、大小の比較などをしっかり教えます。コープが20ベクレルを販売の基準とした場合、表示に「基準20ベクレル、この商品10ベクレル」と記載したら、お客さんは安心して買うと思います。

 

コープの言うとおり「数値がわからない」という人はコープこうべのお客さんのどのぐらいの割合でおられるのでしょうか? もともとカリウムを含む食品は放射能を持っているのですし、この時期ですからそれを丁寧に説明することはできると思います。

 

でも「日本国民は数値がわからないから、数値を出さない」というのはおそらく牛乳メーカーも同じで、宮城県知事は「県民は数値がわからないから、安全だというしかない」と言っていますので、それが共通の認識なのでしょうけれど、私は違う考えで日本人は数値はすぐ理解すると思います。

 

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「商品の産地やメーカーに対する不安を印象付けることになり、風評被害につながる」というところですが、ここも今の日本では大きく意見が分かれているところです。「数値を示して安全な商品を作っている」ということがわかっても「日本人は数値がわからないから」、「数値を示すだけで不安を印象づける」ということになっています。

 

もしそうなら、文科省は教育内容をかなり考えなければなりませんし、選挙制度(国民が判断力を持つことが前提)も「選挙人資格制度」のようなものがいるでしょう。事の善悪などが判断できないということなのですから。

 

さらに、ここでいう「風評」とはなにを指しているのでしょうか? 「風評」とは事実と違う噂ですが、ここでは「安全な食材なのに危険と判断されて生産者が困る」ということと、「不安全な食材を食べさせられて健康を害する子供がでる」という二つの意味があり、コープは生産者保護の立場に立っていることがわかります。

 

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私はコープこうべが「お客さん」の立場にたって貰いたいこと、それには、第一に「コープこうべ」が11ミリを守ろうとしているのか、それとも別の基準を採用しているのかという立場を明確にして欲しいと思います。「国は15ミリ」ではないのです。福島の小学生には120ミリ、東電の社員には11ミリ、食材は実質110ミリ程度と、今の国はダブルスタンダード、トリプルスタンダードですから、「国の基準」というものが存在しないのです。

 

今度の福島原発事故を通じて、私は「日本の大人」、特に社会を指導している人たちの多くがしっかりした哲学を持っていないのにビックリしました。意見や判断はそれぞれ違って良いのですが、ほぼ全員が羊のごとく、「政府がいえば、政府が言っていること自体が矛盾していても、それに従う」という人たちだったのです。

 

(平成23917日)