あるテレビでお子さんが「東北の野菜を食べたらどうなるのか?」という趣旨の質問がありました。

 

可哀想に、東電が放射性物質をまき散らさなければ子供はこんな心配をせずにのびのびと楽しく毎日を送っていたでしょう。これもなにも日本の大人の責任です。私はその子供にすまないとおもいました。

 

東電がヘマしたのも大人の責任です。それなら、子供には事故以前の被曝基準11ミリシーベルトを守ってあげられなかったのでしょうか? 保安院は東電の事故の後、東電の社員(もしくは下請け)の大人が11ミリシーベルト以上浴びたとして処分をしましたが、大人より感受性の高い子供を守って欲しいと思います。

 

今は情報の時代です。政府や自治体がいくら法律を隠そうとしても、隠し通せるものではありません。私が11ミリシーベルトというと「危険を煽る」と言う批判が来ますが、低線量率被曝と病気の関係が医学者で合意できないので、社会的に11ミリシーベルトという約束をしているのです。東電がヘマしたから約束を反故にしてはいけないし、その被害を子供にかぶせるのは誰が考えても不適切です。

 

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「東北」といっても広いので、安全な野菜もありますが、「東北」を「福島」と言い換えても、福島でも汚染されていない野菜はあります。汚染されているかどうかは、野菜のベクレルを測ってそれが表示されていないとわからないもので、地域、しかも行政区でいうこと自体が間違いですが、それも大人の責任です。子供なら「東北」ぐらいしかわからないでしょうし、外人ならそれが「日本」になるでしょう。

 

すくすく育つべき子供が被曝を心配しなければならないのも大人の責任、食材にベクレルを表示しないのも大人の判断、「東北産」、「福島産」などと行政区で区別しているのも大人です。

 

そこで私は、「大人の不始末は大人で解消したい」と思い、子供からの質問には正面から答えずに、大人に向かって(子供が心配しているから)「東北の野菜は出荷してはいけない」と言いました。もし食材にすべてベクレルが表示されていたら、「10ベクレル以下なら大丈夫ですよ」と答えることができたのですが。

 

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子供は大人を信用しています。質問はしますが苦情を言うことはなく、国会前で座り込みをすることもできません。出された給食が汚染されていても黙々とそれを食べます。そんな立派な子供たちが安心して暮らせるよう、今でも「11ミリシーベルトを超える被曝になる可能性がある食材(もちろん外部被曝などを足してですが)は出荷しない」ということで大人が断固たる意志を示したいと思います。

 

そのためには、外部0.2、食材0.2ミリぐらいになることですから、個別の食材はその20分の1、つまり0.01ミリ(食品の100分の1原理)程度にする必要があるでしょう。今こそ、大人の決意に期待します。

 

(平成2397日)