「原子力発電は安全である」と言っても、それは原発を取り囲む環境による。地震も津波も落雷もなにもない平穏なところに建設されている原発なら安定した設計と間違いない運転をすれば安全になるだろう。

 

でも、日本では10年間に13回の震度6の地震があるのだから、震度6の地震で耐える原発でなければ「原発は安全だ」とは言えない。その点では、日本の原発は青森の東通原発から、女川、福島第一、福島第二、茨城第二、柏崎刈羽、石川原発まで東日本の7つの原発はすべて破壊された。

 

ここでいう「破壊」とは、地震で棚からものが落ちたという程度ではなく、制御棒は入ったけれど、配管や階段が破壊されるとか、火事や放射線漏れを起こすなどの破壊であり、1年ぐらいは動かないことを指す。

 

つまり浜岡原発が地震の可能性があるので止まっているのを含めると、本州の石川県以北の原発はすべて震度6の地震で破壊され、それは100%の確率である。

 

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このような現実を見ると、事実としてハッキリ「日本の原発は震度6の地震で破壊される」ということを示している。これを少なくとも原子力の科学者は認めて、「原発の安全技術は不完全だった」ということをもっと素直に認めないと技術者とは言えない。

 

技術者は常に現実に素直でなければならない。実験結果、観測結果を認める力科学者に求められる。それが、これまでの自分の考えや、立場、名誉などと全く反するものであっても、それを乗り越えるのが科学者、技術者というものである。

 

その意味では、福島第一原発や東日本の原発の状態を見ても、まだ「日本の原発は安全」などと言っている人は「学者、科学者、技術者、専門家」という表札を外して貰いたいと思う。

 

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ところで、日本の原発と地震の関係を整理したところだが、今、世界の原発の状態を調べている。もしかするとまだ人類は「震度6の地震に耐えられる原発」を作ったことがないかも知れない。そしてそれが日本の原子力安全関係の研究に無かったのではないかとも思う。

 

もしかすると憲法に示された学問の自由があっても、「原発は地震で破壊される可能性がある」という研究が制限されていた可能性もあるのだ。

 

(平成2396日)