(この話がおじさんと横浜市長に届くと良いのですが)
日本人は何かにおびえているのか、それともお金にとりつかれているのか、福島原発事故のあとの日本の指導者や市長、おじさんなどに異常さを感じるのは私だけではないと思います。
読者からのメールで、ある説明会で「1年に20ミリシーベルトというと400回のレントゲンに当たると聞いたので不安になった」という質問をしたお母さんに、あるおじさんが「ばかやろう!」と叫んだという話を知りました。
お母さんが不安になるのは当たり前で、人間は頭脳と心を持った存在ですから、今までレントゲンはできるだけ浴びないようにと言われているのに突如として400回まで大丈夫と言われても、そのまま信じられないのは当然です。
おじさんが「ばかやろう!」と叫ぶのも理解できます。おじさんは「子供の健康より日本の発展」を願っているのです。「個人を犠牲にして国家を繁栄させる」という考えは人間古来の思想ですから、おじさんの気持ちもわかります。
「殿様のご命令とあれば我が子の命を捧げる」という物語もあります。でも、おじさんの叫びというかイライラを思うと、まだ日本は野蛮国家なのかも知れません。
自治体の人は今でも「このぐらいの被曝は大丈夫で、直ちに健康に害はありません」などと言っていますが、自治体の人は税金から給料さえ貰えば良いと思っているのでしょう。法律や国際慣行を勉強して貰いたいものです。
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もう一つは東京新聞が報じた横浜の女性市長のコメントです。この方のコメントを読むと、「放射線など怖くない。それより観光客を増やさないと」ということでした。コメントは短いので直接お会いして見ないとわかりませんが、おそらく法律をお読みになっていないことと、国際的な状況をご存じないのだと思います。
日本の法体系は「被曝は恐ろしい」ということで一貫しています。また「国際的には1年1ミリシーベルトを守らないと通用しない」という二つがあります。このことをもう少し考えないと横浜市に住んでいる人が危険ですし、外人の観光客も来ないでしょう。
日本の放射性防護の基本思想を「被曝は害」から「被曝は益」に変えるのは相当の研究と議論を要しますし、また国際的な孤児になることをどのように避けるかも問題です。
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この二つの話を聞くと、多くの人が「被曝の危険性」の基本的な関係を知らないことがわかります。それは「致命的な病気になる場合は、安全にする」ということです。
人間は風邪を引いても直りますが、ガンや遺伝的な疾患はなかなかやっかいです。そこで、「このぐらいなら風邪を引く」というのと「このぐらいならガンになる」というのを区別して、ガンの場合は規制値を厳しくしています。
1年100ミリというのは「はっきりガンになる」ということですが、100ミリ以下ではまだ不明です。不明というのは大丈夫だというのではなく、まあ「直線でも引いておくか」ということであとは安全を期することです。
おじさんも横浜市長も「法律を守らなければならない」、「国際慣行を大切にして国際的な信用を得る」という気持ちになって欲しいものです(音声あり)。
(平成23年9月3日)