文部科学大臣が子供たちに課した被曝は、{120ミリシーベルト=1400回の胸のレントゲン}であり、食材の暫定基準値は{15ミリから20ミリ}程度である。つまり、日本の子供たちは、1年に500回から800回のレントゲンを浴びさせられることになった。

 

根拠はICRPというNPO(任意団体)が出した勧告で、国際的に一定の方向を出すことはできるが、国は独立しているので、そのまま認めることはできない。国内の規制は相変わらず11ミリシーベルトである。病院で胸のレントゲンを撮るとき、医師やレントゲン技師は「はい、息を止めて」と言って鉛に囲まれた別室に入ってレントゲンのスイッチを押す。レントゲンをむやみに浴びないように注意していることは歴然としている。

 

それなのに1年に実に400回から800回のレントゲンを認めた政府の方針に、マスコミも識者も唯々諾々として従い、新聞を見ると「暫定基準値を下回っている食材を心配するのは行き過ぎだ」と書いてある。1年に400回のレントゲンを心配するのを「行き過ぎ」というのは、「政府の言ったことにはぜったいに逆らわない」ということだが、それでマスコミや識者としての責任を果たせるのだろうか?

 

憲法には表現の自由や言論の自由が保障され、それ故、マスコミは取材などの特権を持っている。でも、政府の決定にまったく異議を挟まないマスコミは表現の自由を持たない。社会はそんな都合のよい表現の自由は認めないだろう。権利を持てば義務を生じる。

 

・・・・・・

 

保護者が心配するので、一部の教育委員会は給食に牛肉を使うのを止めようとしている。あまりにも当然の措置だ。給食というのは「強制的な食事」であり、「児童の健全な発育」を目指すものだから、万が一にも放射性物質で汚染されていてはいけない。

 

人は自らの口に入るものを選ぶ権利がある。でも、給食というのは特別な目的を持っているので、強制的に食べさせるのもやむを得ないかもしれないが、給食を出す側は単に「政府が言っているから」ではすまない。本当に安全なものだけを出す必要があるのはあまりにも当然である。

 

日本の識者、日本のマスコミ、日本の大人はどうなってしまったのだろうか?

 

(平成2392日)