経産省の寺坂院長の辞任の会見で、3月の下旬に交代した保安員の中村幸一郎審議官の交代について言及し、中村さんが「原子炉がメルトダウンしている可能性がある」と発言したことが交代の直接の原因ではないと述べた。

 

このことはいろいろな内容を含んでいる。

 

1) まず、今回の福島原発事故の第一の責任が保安院にあることは明らかである。原発は社会に大きな影響を与えるから国が厳しい規制をしているのだから、今回のように運転に問題は無く、設計に欠陥があった場合、その第一の責任は設計を認可する保安院にある。しかし保安院長は辞任するまでほとんど公に姿を現すことはなかった。

 

2) 事故は技術的な内容が主であり、3月下旬の時点では記者会見でも技術的内容が多かった。その時点で技術担当の審議官が説明するのは納得性があり、交代の理由が不明のままそれまで貿易自由化を担当していた文官の西岡さん(後に不倫問題で交代)に変わったのは政治が指示したのだろう。今回の交代の理由を述べなかった。

 

3) 政治が「事実を話すな」と指示したとして、公務員は守秘義務があるから言うことができないというのは、最高裁判例などから見ても妥当ではない。秘密にしたことについての公務員の責任逃れとして使用される言い訳である。

 

民主党は「政治主導」を掲げたが、お金の節約などでは官僚の抵抗にあって初志を貫徹できず、「官僚が抵抗している」という事実そのものも言えないだらしない内閣になった。

 

そして、「国民に事実を隠す」というように官僚の都合の良いときに政治手動を利用されるに至っている。日本の発展のためにはそろそろ政権が変わったら、局長以上の官僚は交代するということにしなければ国民主権は有名無実になるだろう。(音声付き)

 

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(平成238月14日   )