放射線で被曝するとどんなことが起こるのか、もう一つハッキリしない。

その理由の一つは、

「このぐらい被曝したら、どのぐらい患者さんがでたか」

という臨床的な経験も少ない上に、体のどこの細胞の、どの部分が、どのようにダメージを受けるという具体的なことが判っていないか、普通の人でもわかりやすいように説明できる段階になっていないということがある。

学問というのは難しい。

この場合でも、単に「患者さんが何人出た」というだけでは不十分で、体の中で何が起こっているか、そこまで判らないと諸説紛々して紛れがある。

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たとえば、かつて「日焼けする」のは健康のシンボルのように言われていたのに、今では皮膚科のお医者さんで日焼けを進める方はほとんどいない。

「日光浴をしてはいけませんよ」

などとお医者さんに言われると戸惑うお爺さんは多いだろう.小さい頃、日光浴しなさいと言われて育ったから。

でも、そんな風に変わって来たのは、日焼けするということは体にどういう変化をもたらすのかがよく分かってきたからに他ならない。

日焼けによる体のダメージにもかなりの種類があるが、たとえばこのブログにも書いてある「チミンダイマーの重合」のようなものがある。

DNA(遺伝子)のチミンという塩基があるところが、太陽の紫外線で変化してダイマーになり、それが皮膚ガンやシミの原因になる.

このように「太陽の光を浴びると、体の中の分子がどうなるか」というところまで判ってくると、「できるだけ日焼けを避けてください」と言われるようになってくる.

放射線はそこまで判っていない。だから、「ガンになる人が何人」というようなザッとしたことしか判らず、「鼻血」、「下痢」などになるとまったくお手上げなのだ。

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ところで、赤外線ストーブの赤外線、夏の太陽の紫外線、そして放射性チリからでる放射線はいずれも「電磁波」で、体に影響を与える。

赤外線は体の中の分子を「揺する」ので、「熱」がでて、「暖まる」.そこで、赤外線ストーブということになるのだが、体の分子を揺するので、それなりに影響があると思われるが、まだハッキリしていない。

「電磁波障害」なども同じで、体への弱い影響があっても、敏感な人だけが苦しむ場合が多く、なかなか社会的には認知されない。

日光浴では紫外線を浴びる.

紫外線はかなりエネルギーが大きいので、分子を完全に破壊するまでには行かないが、日焼けでチミンダイマーが出来るように「分子の形を変化させる」というぐらいのことは起こる.

日焼け、シミ、皮膚ガンなどまでは行く。

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放射線になると、さらにエネルギーが高いので、遺伝子の一部を飛ばしてしまい、それがキズになる.

放射線を浴びると体は確実にキズができるので、その意味では「放射線を浴びても大丈夫」とか、「放射線を浴びた方が良い」などということは、まずは原理的にはない。

でも、人間の体は防御することができるので、自然界の放射線ぐらいは防御できるのではないかとも言われている(本当かどうかは不明だが).

ただ、人間が防御する力は、その人の個人差、体調、影響状態などでも変わるから、抵抗力のある時には被曝しても治す場合もあるが、抵抗力が落ちるとやられる可能性もある。

つまり、

1)   放射線を浴びると確実にある割合で体の一部が損傷する、

2)   これは体を作っている分子の結合エネルギーより放射線のエネルギーが大きいからどうしても損傷する、

3)   体に抵抗力がある時には、その傷を自分の力で治すことができる、

4)   普段はキズを治す物質はあまり体にないが、被曝すると増えると考えられている、

5)   だから、被曝した後、しばらく放射線が少ない環境にいると、キズを治す機会が出来る、

6)   まだ、放射線でできたキズを治す薬はない、

7)   体の抵抗力が落ちていたり、抵抗力以上のキズを受けると治せない、

8)   放射線は遺伝子だけを狙ってキズをつけるのではないけれど、遺伝子が傷つくと、それが体にダメージを与えることが多い、

ということだ。

やや、面倒だが、放射線とのつきあいも長くなるので、基礎的な知識として、少しずつ勉強しておいた方が良いと思う.

(平成23629日 午前8時 執筆)