目の前で何かが起こっているのに、政治家が知らん顔をするというのは良くあることですが、細野首相補佐官が「国はやるべきことを、すべてやっている」と発言したのにはビックリしました。

この日記の末尾につけておきましたが、放射性物質を含むものは地方自治体は手を出せないようになっていて、国が責任をもって片付けなければなりません.

すでに、3月に福島原発から漏れた放射線量は60京ベクレルに及び、それが福島原発、その周辺、福島市、郡山市などにあります。この「汚染源となる放射性物質」を除くのは法律で国がやることになっているのです。

台風シーズンが来て、強い風が吹けば福島原発付近の濃い放射性物質は、台風が太平洋を通ると北風にのって茨城、千葉、東京、神奈川に、もし日本海側を通ると南風で宮城に行くと予想されます。

福島原発内は東電が飛散防止剤をまいたりしていますが、国は周辺の汚染をまったく除去しようとしていません.

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そればかりではありません.

国はなにか「実働」をしているでしょうか? 

福島原発の処理は東電任せ(緊急時だけちょっと応援)、小学校の汚れは自治体任せ、瓦礫の処理は福島原発ちかくに処理施設をつくるのではなく地方自治体に引き取りを求めて、放射性物質の拡散を進めるなど、なにもしていません.

「何もしていない」のに、「やるべきことはすべてやっている」というのですから、驚くべき発言です.

●福島原発に国の実働部隊はいません.

●福島原発近くの高濃度汚染地域に国の実働部隊はいません.

●小学校、幼稚園、公共施設の除染部隊もいません.

●瓦礫、汚泥、汚染された草木などを片づける実働部隊もいません。

●海の汚染を測っている国の影は見えません。

●ストロンチウム、プルトニウムのデータは海外から来ます.

それでいて、自治体が手を出すのを禁止しています.

【参考】

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号)

第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

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一刻も早く汚染を除去して国民を被曝から守る任務を負っている国は、国会の争いばかりに熱心で、福島原発については1ミリを20ミリにしたりして国民を被曝させるのに懸命です。

こんな状態なのに「消費税を10%まであげる」と言っているのですから、国民も甘く見られたものです。

税金を上げるなら、まずは国民が「政府というものがあるな」と実感できるように「実働部隊」を福島原発、福島原発付近、福島県に派遣して、放射性物質を取り除かなけれならないでしょう。

「なにもやらなければ税金を払わない」ぐらいの納税者の強い反応が必要な時なのかも知れません。

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【汚染されたものは地方自治体が処理できない法律一覧】

環境基本法(平成五年十一月十九日法律第九十一号)

(放射性物質による大気の汚染等の防止)

第十三条  放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる。

大気汚染防止法(昭和四十三年六月十日法律第九十七号)

(適用除外等)

第二十七条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染及びその防止については、適用しない。

水質汚濁防止法(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十八号)

(適用除外等)

第二十三条 この法律の規定は、放射性物質による水質の汚濁及びその防止については、適用しない。

土壌汚染対策法(平成十四年五月二十九日法律第五十三号)

(定義)

第二条 この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

(平成十一年七月十三日法律第八十六号)

(定義等)

第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。

環境影響評価法(平成九年六月十三日法律第八十一号)

(適用除外等)

第五十二条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)及び土壌の汚染については、適用しない。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号)

(定義)

第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

循環型社会形成推進基本法(平成十二年六月二日法律第百十号)

(定義) 

第二条  略

2 この法律において「廃棄物等」とは、次に掲げる物をいう。

 一  廃棄物

 二  一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品(現に使用されているものを除く。)又は製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給、土木建築に関する工事、農畜産物の生産その他の人の活動に伴い副次的に得られた物品(前号に掲げる物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)

(平成23530日 午前8時 執筆)