少し前に、日本で盛んに中国の食材を批判した時代がありました。

それに対して、中国は「食品の安全の基準はしっかり守っているし、実際、中国で大きな問題は起きていない」と言っていました。

でも日本国内の不信感は変わりませんでした。

それは、「どうせ中国がそんな事言っても、信頼できないから」ということだったでしょう。

つまり「信頼」というのは、多くの生産者や流通の人がすでに良くわかりのように、単に数字上のこととか、言葉で言ったということではなく、買う人の信頼をどのように得るかということにかかっていると思います。

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現在、食材と放射線の関係で多くの人の不信感を呼んでいるのは、現実に福島原発が始まった時から今までの経過なのです。

その最も良い例が水道の規制値です。

世界の基準値としては、WHOが1ベクレル(リットルあたり(以下同じ))で、ドイツガス水道協会が0.5ベクレル、アメリカは0.11ベクレルです。

これに対して317日までの日本の基準値は、ヨウ素が10ベクレル、セシウムが10ベクレルでした。

今回の福島原発の事故がなければ、多くの人が水道の基準を気にしているわけではないので、10ベクレルでもさほど問題がなかったと思います。

しかし、福島原発を事故が起こり、現実に水道が汚染されてくれば、誰でも、本当に大丈夫だろうか?と思うのは当然です。

特に、小さいお子さんをお持ちのお母さんは、粉ミルクを水でとかなければいけませんし、赤ちゃんをお風呂に入れることも必要です。

そのお母さんが大丈夫だろうか?国際的な基準が1ベクレルなのに日本は10ベクレルで大丈夫なんだろうか?と心配するのはごく当然のことです。

ところが日本の政府も、自治体も、そして日本の官庁の中ではかなり信頼できる水道局も、「なぜ国際基準が1ベクレルなのに、日本の基準が10倍なのかを積極的には説明しませんでした。

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それに加えて驚くべきことが起こったのです。

福島原発が爆発したので、各地の放射線量が上がり水道が汚染されました。そうすると、317日になって「暫定基準値」がでて、驚くことに、ヨウ素が300ベクレル、セシウムが200ベクレルに跳ね上がりました。

国際基準が1、事故前10、事故後300!! 説明無し。それで「信頼しろ」と言っても、ノーマルな人間には無理です.

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それと共に、牛乳や乳製品が ヨウ素300ベクレル(キログラムあたり)、セシウム200ベクレル、 野菜類は2,000ベクレルで、根菜類などは不明? 穀類500,肉・魚その他が500となったのです(一部は昔から。どれがどれか不明)。

この数字はやや曖昧です。曖昧なままブログに書いたのは理由があります。わたくしはこの数字を、もう一度確認して書こうと思ったのですがやめました。

それは、子育てで忙しいお母さんが、いちいち、数字をチェックするということができないからです。

それでも、普通のお母さんに比べると、わたくしの方が少し知っているかもしれません。今、わたくしの頭にはだいたいこのぐらいしか入っていないのです。

わたくしが「お父さんとしての視点で見る」と言っているのは、普通のお父さんやお母さんは大ざっぱな事しか覚えてません。

それぞれ生活がありますし、まさか放射線の暫定基準値の専門家でもありません。「どうも10ベクレルぐらいの値が、事故が起こったから300ベクレルに引き上げられたらしいという感じを持っているだけです。

また、お父さんですから、「国」がなんといおうと家族を守らなければなりません。国が決めたいい加減な「事故後の値」などは、お父さんは関心がないからです。

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中国の食材でありませんが、こんなことをされて「食材が安全だ」と信じろといっても到底、無理です。

水道の基準でも事故が起こる前に決めてあった10ベクレルというのには、それなりの根拠があるからです。わたくしのブログには、計算値を示して、水道はせいぜい20ベクレルまでという計算値が書いてありますが、何かの根拠がなければ値を変えることはできないのです。

しかも、現在は江戸時代ではありませんから、「お殿様が決めたから、それに従え」というわけにはいかないのです。

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そんな中で、生活協同組合が茨城産の農作物を全国に運んでいます。

そして生協の人は次のように言っています。

「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」という。

消費者に安全をPRし、生産農家が今後もおいしい野菜をつくり続けられるよう、4月上旬に共同購入による応援フェアを企画した。

 対象は、全国的に需要が落ち込んでいる福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県のうち、同生協がこれまで産直野菜の取引のあった8産地のキュウリやレタスなど計14品目。国の検査をクリアした安全なもので、毎週9品目を選んで案内している。」

でも、ここで担当者が言っておられる、

「生産農家が一生懸命つくった安全な野菜なのに、出荷できない。何ともいたたまれなかった」

というのはどういう意味でしょうか?

ここで、生協の人が言っている「安全な野菜」というのは、国が事故処理に重きをおき、国民の健康を第二にして決めた300ベクレルのことでしょう。

300ベクレルなら安全だというのは、全く説明されていません。

1年に1ミリシーベルトという法律で定められた安全の基準を守ろうとしたら、食品は10から20ベクレルぐらいが一つの目安になります。

もし生協が本当に買うお母さんの身になったら、次のように言うでしょう.

「このホウレンソウは国の基準は満たしていますが、お子さんが11ミリシーベルト以上の被曝をさせたくなかったら、普段の30分の1ぐらいまではお買い求めできます」

という「販売量制限」をするはずです。

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また、生協の人が言ったという「何ともいたたまらなかった」という表現はわたくしには衝撃を与えました。

野菜というのは、生産すれば食べなくてもいいのでしょうか?

わたくしは農家が一生懸命作る目的は、日本のお子さんが安心して食べられる野菜を作るからだと思います。

いたたまれないのは、むしろこのような野菜を買わされるお母さんの方ではないでしょうか。

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関東大震災の後、この悲劇を生かして、日本はかなり近代化されました。それは関東大震災の前までには、日本の中にまだ江戸時代の古い習慣が残っていたのですが、それが関東大震災という大きな災害をきっかけに前進したのです。

今回の福島原発の事故は日本にとって大変に大きいものでした。

でもこの原発の事故を教訓にして、もしも日本の農作物の生産者が本当に安全な食材を消費者に提供し、生協が自ら計算をして日本の子供たちが食べても大丈夫な食材を提供するようになったら、前進と思います.

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事故が起こってから国は「健康に影響がない」を繰り返してきました。また、多くの放射性物質が福島などに降り注いでいるのに、その事実を隠していました。

そんな国であることを知りながら、消費者を守るはずの生協が「国の検査をクリア」というのは、生協を信頼していた私には理解できません。

生協で販売されている、福島、茨城、千葉、群馬、栃木の5県の野菜は「放射性物質で汚染されている」ので、購入してはいけないことが判ります。

また、生協はトラックで日本中に「放射性物質」を運んでいるので、それはすぐ止めてもらいたいものです。

未来をつくる日本の子供達のために、私は批判を受けることを承知で「個別・具体的に」危険な食材を指摘していきたいと思います.個別のことを言うのですから、私の名誉は傷つくでしょうが、子供を守ることの方がずっと価値がありますから。

(平成23524日 午前11時 執筆)