まず福島原発のニュースから。

「関係者によると、(2011年)3月11日夜、1号機の状態を確認するため作業員が原子炉建屋に入ったところ、線量計のアラームが数秒で鳴った。

建屋内には高線量の蒸気が充満していたとみられ、作業員は退避。線量計の数値から放射線量は毎時300ミリシーベルト程度だったと推定される。」

わたくしも、今回の福島原発の事故は、地震で相当の打撃を受けているはずだと思っていました。

それは単に「推測」ではなく、日本の原発の設計が(原子炉ばかりではなく、すべてが正常に機能すると言う点で)震度5程度なので、震度6の揺れを受けたらある程度破損するのは当然だからです。

この記事のポイントはそこにあります。

311日の午後、つまり地震が起こったらすぐ、原発の運転責任者は「大変なことになった。大量の放射線漏れはあり得る」ということが判ったはずです.

そして、半日ぐらい経ったところで、1号機に高濃度の放射線が漏れたのですから、それで確定したでしょう。

なぜ、その時に東電は大々的に言わなかったのでしょうか? その時、直ちに政府と自治体、そしてNHKに通報しておけば、被曝は大幅に減ったはずです。

これは「過去」のことではありません。福島では「過去」ですが、浜岡にしても、「もんじゅ」にしても、そのほかの日本の原発では、今後のことです。

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原子力基本法では「民主・自主・公開」を原則にしています。

特に重要なのは、「公開」という意味では、通常の役所の業務とは違い、「マル秘」を作ってはいけない。それが国民との約束です.

政府も、電力会社も原子力というもので生活をしたり、収益を分けたりするのであれば、国民との約束である「原子力基本法による公開の原則」を誠実に守らなければいけないのです。

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このブログにも書いたように、わたくしが若い頃に働いていた職場では、「どんな小さな火災やぼやを起こしても、直ちに市営消防署に電話をするように」と徹底的に教育を受けました。

その工場には専用の消防車が2台あり、すぐ駆けつけてくれる体制でした。

そして、大学を卒業したばかりのわたくしは、企業というものは企業の中で起こった困ることは隠すのではないかと思っていたので、とても新鮮でした。

私の上司は、「わたしたちは企業の一員である前に、社会の一員であるということを忘れてはいけない。わたくしたちが社会からお金をもらい、それで生活しているということを忘れるな」と説明してくれました。

「上司の許可など必要ない. 火事だとおもったらすぐ電話して良い. 消防車が来た時には火が消えていても、問題は無い」

と言われたのです.

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私の場合は普通の化学の工場でしたが、原子力では、さらに厳密にこのことが守られるべきことです。

でも、東京電力の社員は自分が日本社会の一員であるという認識は無かったのでしょう.

福島については、今になっては仕方ありませんが、もしも東京電力が11日の夕刻に「爆発の可能性がある、大量の放射線が漏えいする」と発表していれば、多くの人は逃げることができ、それによって被爆を減らすことができたと思います。

政府の許可など要りません。東電社員なら誰でも日本人ですから。

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日本には多くの原子力発電所が動いています。そしてそれには電力会社が運転を担当しています。

日本の他の原発も耐震性、耐津波性が低いのですから、かならず壊れます.

その時に、運転を担当している原子力発電所の社員(責任者ではない)は、自分たちが日本社会の一員であるということを意識し、まず最初に「社会に向かって放射性もれを通報してもらいたい」と思います。

でも、間違いなくそれは絶望的です.

今の日本の電力会社は、「ぼやでも市営消防に通報する」などということはまったく頭にないでしょう。そしてそれは、政府も自治体も、電力幹部もすべて「俺たちは貴族だ」と思っているからです。

私は原発を動かしている電力会社の社員が「私は会社の社員の前に、日本社会の一員です」と宣言してくれない原発は、即時、停止するべきと考えます.

(平成23515日 午後5時 執筆)