春休みの終わりにどう判断すべきすべきかという参考にしていただくために、緊急情報34で、簡単な計算を紹介いたしました。

その後多くの方からご質問を受けたので、一部、ご返事申し上げます

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福島県の海岸線、及び茨城県の北部の海岸線まで、政府から発表される放射線の値が少し低くても、お子さんのいる家庭は避難したほうがいいとわたくしは考えています。

実は、次の図を見ていただくとわかります。

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この図は323日に原子力安全委員会から発表された図ですが、原発から漏れて出るのは「光のように四方八方に行く放射線」ではなく、ホワッと上空に上がって風で飛んでいく放射性物質(粒子)です。

この図ですと、北北西と南に放射性ヨウ素が飛んでいます

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そしてその濃度は、1歳児の甲状腺の場合、いわき市や伊達市で1時間あたり350マイクロ シーベルトの及んでいて、発表される放射線量の150倍にもあたります。

この測定は事実ですから。もしこの地域に1才から5才程度のお子さんを持ちの人は、甲状腺が異常をきたす可能性が高いので、赤ちゃんのことを考えれば、是非とも移動してもらいたいとわたくしは思っています。

その点でぎりぎりの境界を決めるのが大変に難しいのです。

おもに風向きによりますが、風向きが少し変わりますと、汚染の領域が変化すると思われるからです。

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2番目はテレビでも報道しているように福島原発のところにある「放射能が極めて高い水」のことです。

このことについて、原子力保安院等は「びっくりした。どこから来たかを調査する」と言ってますけども、予測できることで、すでにわたくしのブログでは、織り込み済みで計算方法を書いています。

1週間程前から原子炉には継続的に水が注入されました。その一部は空気中に水蒸気となって飛散し、それが継続的な空間の汚染源になっています。

原子炉建屋の床にたまった水は、原子炉、格納容器、貯蔵プール等を通って下に落ちていますから、相当濃い放射性物質を含むと考えられます。

テレビでは、一時、通常の原発中の水の数10万倍と言っていましたが、それぐらいは当然考えられます。特にびっくりする値ではありません。

わたくしは「原子炉が沈静化したので、福島原発から漏れる放射線は今後は2倍程度の範囲に収まるだろう」と言っているのがこのことです。

ただ少し気がかりなのが2号機の下で測定した水の中に含まれている放射性物質の一部が核分裂が継続した場合に存在するものを含むからです。

これが、地震前のものなのか停止後のものなのかが問題ですので、今後も注意していきたいと思います。

いずれにしても、現在、原発にちかいところで放射線があまり減らないのは、半減期で減る分だけ新たに福島原発から流れてくるからです。

これがどのくらいで収まるかということですが、現在の状態ですと4月中旬ぐらいには収まるというふうに考えています。

そうすると、その後は10分の1まで減少しますから、先ほどの計算でおおよその被ばく量が計算できるということになります。

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福島県沖の海も汚染されていますが、これも当然のことです。保安院は「測定したら汚染がわかった」と言っていますが、福島原発から空に上がった放射性物質は西方に流されて太平洋に行っているわけですから、当然その下の海は汚れます。

また、冷却のために海水を大量に原子炉建屋内に入れたわけですから、その水が海に戻れば、これも当然放射性物質を伴います。

また保安院はどういう根拠があるかわかりませんが、「汚染された海から取れた魚も大丈夫だ」と言っています。そんなことは現在の段階でわかる人は1人もいないと思ます。

放射性物質で汚染された海で取れる魚は、原則として汚染されています。汚染されている魚を食べていいかどうかはその魚の放射性物質の濃度によりますから、その値がない内に安全だということは、なんと言うことでしょう

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また、同じように福島県の作付けの問題で「土壌が汚染されているかどうかを調べる」というテレビを報道がありましたが、土壌はもちろん汚染されています。

空間に放射性物質がなければ、放射線は観測されませんから、福島で放射線が観測されるということは、すでに空気中に放射性物質が存在するということになります。

放射性物質が存在すれば、それをが地面に落ちますから、土壌が汚染されます。すでに間違えなく福島県の土壌は汚染されています。

どんなに怖い事実でも事実を真正面から見る勇気がこのようなときには大切です

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毎日家にいたり、ペットボトルの水を使ったり、大変な毎日が続いていると思いますが、放射線量は最初の1ヶ月が高いのでここを何とか凌いでもらいたいとわたくしは希望しています。

マスクや浄水器、室内の空気清浄機等は効果が万全ではありませんが、若干の意味はありますので使ってください。また布団や洗濯物をできるだけ外に起こさないことも大切です。

放射性物質はいろいろな形(細かい粒子など)をしていますし、水で溶けるものや、溶けないものもあるし、拭いたら取れるものや、取れないものがありますが、ここ1ヶ月だけは少し我慢をして、できるだけあれもこれもやっておいた方がよいと思います

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避難も長期になってお仕事も始まったり、新学期が始まったりする人はとても迷うことではないかと思ます。

放射線は浴びた影響は「累積(合計)」が問題ですから、1週間か2週間だけやや高い放射線のところにいても、その後、低いところに移れば回復するという傾向もあります。

現実の生活の中でできる事とできないことがありますが、何とか工夫していただければと思います。

その点では原子力安全委員会が継続的にSPEEDIを使って現実に風の向きで変わる放射性物質の状態を公開してくれることを強く望んでいます。

(平成23327日 午後6時 執筆)