茨城県は2011年3月18日に福島県境に近い高萩市で採れたホウレンソウから、国が示した規制値の1キロあたり2000ベクレルの約7.5倍にあたる1万5020ベクレルのヨウ素131を検出したと発表した。

福島第一原発から約100キロ離れたところにある.また同時に規制値を超す放射性セシウムも検出されたと報道された。

これに対して枝野官房長官は、

「被曝量は胸部CTスキャン1回分の5分の1程度である」とし、「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」と強調した。

官房長官は放射線の人体に対する影響の素人であるから、この後ろに専門家がいる

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千葉市の放射線医学総合研究所の環境放射線影響研究の専門家は

「このホウレンソウの数値を人体への影響を示す単位である「シーベルト」に換算した場合、0・24ミリシーベルトになる。

人体に影響があるのは一度に100ミリシーベルトを受けたときとされており、小鉢1人前のホウレンソウを100グラムと仮定すると、今回のホウレンソウは4200人分を口にしないと人体に影響を及ぼさない計算になる。」

と発言している.さらに、

この専門家は

「妊婦や子供など、放射性物質の影響が大きいとされる人たちについても、摂取しても問題がないレベルだ」

と言う。

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本当は「ベクレル」とか「内部被曝」についてかなり丁寧に説明してからの方が良いのだが、ことは緊急を要するので、それらは後に説明することにしてここでは「汚染されたほうれん草を食べても大丈夫か」ということだけを説明する。

この専門家の言うことはムチャクチャである。おそらく国から研究費を丸抱えでもらっているので、国民を無視した発言をしていると考えられる。

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まず、第1に放射性を持つ物質を食べた場合の健康への影響は詳しく調べられていて、この場合のヨウ素131のように放射線を出す元素(正確には同位体という)ごとに細かく決まっている。

またそれらが1種類の時とか、2種類の時についての研究されている。

その上で、規制値が決まっている。この手のものは同位体の数が多いので、同位体毎に詳しい「別表」があり、それで専門家は接種して良い限度を決める

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だから、規制値の7.5倍でも安全だなどという話は全くない。そうなると専門家は自分で決めた規制値を自分で否定する事になる。

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次に、ほうれん草で内部被曝することと、1年に100ミリシーベルととは、人の健康に影響するのがまったく違う。

でも、ここではこの専門家の通りに、もしも一般の被曝と比較するならば、一般人の1年間の限度は1ミリシーベルトである。

この専門家が言っている100が1になるのだから、まったく違う

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具体的にはほうれん草を小鉢一杯、42回食べたら、1年間の規制値になる(小鉢1杯で100グラムは少し重いが)。

つまり、このホウレンソウは1年に42回しか食べられない。

また、妊婦や子供についての内部被ばく量(限度)はハッキリ決まっていて、これも1年当たり1ミリで、こちらの方は単なる基準値ではなく、法律で定められている内部被ばく量の限度である。

従って、汚染されたホウレンソウの汚染度が少し高くなることがあり得る事を考えると、安全をみて1年に10回ぐらいに限定されるだろう

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放射線で汚れた農作物を捨てるというのは、それをつくった農家の人は断腸の思いだろう。また、経済的な損失も大きい。

でも、農作物に対する放射線で汚染されたものの規制値を決めた限りは、それを守るのが順当である。

また、医療行為の一つであるCTスキャン等と被曝量を比較するのは無意味で、いくら官房長官が素人と言っても政治家である

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国民の健康を守る見識がない。

すでにこの国の政府も専門家も、国民の健康を考えずに電力会社を助け、ひたすら「国民がじっと我慢して放射線物質で汚れたホウレンソウを食べ健康害すること」を望んでいるようだ。

当面、放射線で汚染された野菜は食べない方が良い。産地から出荷するのは「規制値以下のもので、良く水で洗浄して、汚染がとれることが分かっているもの」に限るべきだ。

消費者の防御としては、汚染野菜を買わないことしかない。仕方が無い。汚染しているのだから。

(平成23320日 午後1時 執筆)