福島原発の方は小康状態に入ったが、福島県を中心に放射線がゼロになったわけではない。

事故が起こってから今まで約7日間の時間が経っているので、一般の人が放射線の被曝を受けている。そこで、もし時間があれば今日は日曜日なので、家族で自分や子供が受けた放射線の量を計算しておくと安心もするし、今後の計画も立てることができると思う。

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私は長く原子力関係の仕事をしていたので、その間に「第一種放射線取扱主任者」の資格を持ち、業務をしていた。

別に自分がどうのこうのということではないが、「武田は素人だ」という人もいるが、皆さんに安心してもらうために、第一種放射線取扱主任者は「日本人を放射線から守る資格」としては最高のもので、オールマイティに業務を行えることを断っておきたい.

このブログにも第一種放射線取扱主任者の方から多くのアドバイスをもらっていた。たとえ大臣といえども、放射線からの防御という点では第一種放射線取扱主任者の命令を聞かなければならない、そういう資格なのだ。

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放射線取扱主任者のもっとも重要な役割は法律にそって、日本人(もちろん日本にいる外国人を含む)を被曝から守ることである.

専門家というのは事態が変わったから、普段と違うことを言っては行けない。もし政治的な配慮で超法規的措置が必要なら、それは政府が非常事態宣言をして、超法規的措置を執るべきであり、専門家が自らの判断で法律に背くことをしてはいけないのである。

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これまで長い研究と議論の結果、法律では次のことが決まっている。

まず第一には、「管理区域」という考え方である。

「管理区域」とは放射線の量がある程度高くなると、そこに出入りすると健康上の問題が生ずる可能性があるので、被曝量を測定したり、健康診断をしたりする必要のある区域である。

定められた放射線の量は、3ヶ月で1.3ミリシーベルトである(これから後はシーベルトを省略する)。

1.3ミリはマイクロシーベルト(マイクロ)でいうと、1300マイクロであるし、3ヶ月は時間で言えば、3×30×242160時間に当たる。つまり1300マイクロを2160時間で割れば、テレビ等で報道をしている1時間あたりの放射線の強さになる。

計算するとわかるかこれは1時間0.6マイクロに相当する。

この1週間、福島県は西南の会津の地域を別にすると多くの場所の放射線の強さは1時間1マイクロを超えていたので、福島県は広く「管理区域」を設定」しなければならなかった。

これは法律(具体的な数値は規則)で定められていることなので、国会で法律を改訂したりしない限りは、たとえ総理大臣や知事でも変更することはできない。

ましてテレビのキャスターや1個人の専門家が管理区域の定義を勝手に変えて、「管理区域内でも健康に問題は無い」などということは法律違反である。

まして福島市は比較的高いときには20マイクロ、低い時でも10マイクロぐらいあったから、平均して例えば15マイクロだとする。

すでに7日間が立っているので、時間は、7×24168時間で、その間1時間当たり15マイクロの放射線を浴びているわけだからすでに、市民は2.52ミリの被曝を受けたのである。

従ってすでに福島県知事や福島市の市長は、人の健康に重要な影響を及ぼ。放射線の法律に反し、福島市を管理区域に指定するのを怠っているということがいえる。

管理区域の設定は、意図的に放射線を出す場合(レントゲンなど)も、今回のように原発が事故を起こして放射線が出た場合でも同じである。人の健康に関わることだから原因が自分であれ東電であれ、こなしとも当たり前である。

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このブログを見ている皆さんは、自分の住んでいたところや、異動した人は、そこの放射線量を調べてそれに2160168を受けて数値を出して欲しい。

例えば、3日間福島市に住んでいて、その後名古屋に避難したという人は、名古屋の放射線は無視して良いので、15×2160×(3/7)15×168×)3/7)を計算する。

3/7というのは、7日間のうち3日間が福島市にいたという意味である。直接、福島にいたときだけの時間を入れた方が良いかも知れない。)

そうすると、前者が約13.9ミリ(3ヶ月続いた場合)、後者が約1.1ミリ(7日間で終わった場合)(いずれも小数点2桁目を四捨五入)となる。

法律の定めるところによると、3ヶ月で1.3ミリを超えるところは、管理区域に設定しなければならないので、このような人は放射線の被曝量を管理し、健康状態をチェックしてもらうような状態にあったといえるだろう。

ちなみに東京でではおおよそ0.1マイクロ程度以下だったので、3ヶ月で約0.2ミリになる。これは管理区域に相当する放射線の強さより少ない。3ヶ月も続かないと仮定すれば、さらに低くなる

東京都民の健康を守るのは、東京都知事の仕事であるから東京都知事が1年以上続くとみて、東京を管理区域にするかそれとも2週間で事故の処理が終わり、放射線が元に戻ると考えれば、管理区域に設定する必要はないと考えられる。

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管理区域というのは、いろいろな人がそこに出入りするので、そこに出入りする人の放射線の被曝状態を管理したほうがいいという場所を示している。

今回の福島市のような場合には、福島には妊婦も赤ちゃんも児童もお年寄りもいろいろな人が生活するので当然管理区域に設定しなければならないだろう。

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もう一つの指標は、質的に放射線を取り扱うような労働者がこのくらいをあびてもいいという一つの目安である。

もちろんこのくらい被曝しても良いという値は一般人の年間1ミリ の基準値よりも大きい。

つまり一般の人は、特別に放射線の被爆を管理されているわけでなく、また生活の制限もなく、さらには赤ちゃんや妊婦もいるわけだから、それだけ放射線の量は低く設定されている。

一方、「放射線の仕事をする」ということがわかっている人は、測定や健康管理ができるので少し高めに設定されている。

だから少なくとも今度の事故では、放射線の仕事をする人の被ばく量より少なくてはいけないことは当然である。

この量は、男性では1年間に50ミリ、女性は3ヶ月に3ミリである。

これを1時間あたりに直すと、’男性は5.7マイクロ、女性は1.4マイクロである。男性より女性の方が被曝量が少なく設定されているのは女性が妊娠している可能性があることによる。このような規定は、一般の作業や医療関係の作業等で若干の違いはあるがほぼこの数値と考えて良い。

そうすると、福島市の状態は「放射線の仕事をして測定をし、健康管理をするという条件のもとで認められている男性でも被爆が許されない放射線の強さ」なのである。

このような放射線の状態が続いているのに総理大臣、知事、市長であっても独自に判断してはいけない。法律違反で逮捕されるはずである。

まして、専門家やメディア等が「直ちに健康に影響のない医療」ということは絶対にできない。

ある読者が福島市に問い合わせたら、「一回のレントゲンであびる量が600マイクロだから問題がない」と答えたらしいが、そんなことは法律に書いていない。突然、福島市の職員が新しい基準を作るのは法律違反なのである。

日本は法治国家であるから非常時でもまずは法律を守らなければならない。

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これらを求めると次のようになる。

法律では、一番低いのは一般人の1年間に1ミリ、次は、ある程度管理できる場所としての管理区域の3ヶ月で1.3ミリ、そして放射線の作業をすることがわかっていて、線量を測定したり、健康診断をする人の言動が女性で3ヶ月で3ミリと言うことになる。

これを1時間あたりで整理すると、

一般人        0.1  マイクロ

管理区域       0.6  マイクロ

放射線作業者(男性) 5.7  マイクロ

放射線作業者(女性) 1.4 マイクロ

となる。今までの7日間、家族がどこにいたかを表にして、いた場所の放射線を調べ、その放射線量と時間を掛けて、全てを足せば家族の被曝状態が分かる

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おおよそなら、福島県で5から10マイクロ、周辺の市町村では2から3マイクロ、東京近郊では0.1マイクロ程度の数値を使えば良いだろう

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まずは計算してみて欲しい。

(平成23320日 午前8時 執筆)

計算が多かったので、第一種放射線取扱主任者やその他の専門家がおられたら計算をチェックしてください。もし間違いがあればすぐに直したいので。
早速、単位の表記、名古屋と福島にいた時の計算などでアドバイスを受けたのでわかりやすくしました。計算自体はOKのようです。