2011年2月15日、驚くべきニュースが流れた。

ニュース(1):

「総務省は15日、政府の「バイオマス・ニッポン総合戦略」に基づいて実施された214事業のうち、大半の効果が不明確だとして、農林水産省や経済産業省など関係6省に改善を求める勧告を行った。」

解説:

この記事に載っている「バイオマス・ニッポン総合戦略」というのは2002年に政府が閣議決定した環境の大きな政策の一つである。

バイオマスというのは、木材とか家畜の排泄物等からエネルギー等に転換できるものを利用しようというものだ。

それを実施した結果がゼロ」だったことを総務省、つまり政府自身が指摘したとこの記事は伝えている。

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ニュース(2):

「総務省の調査では、事業効果が表れたと認定できるのは35事業だけで、期待通りの高い効果が得られたものはなかったという。」

解説;

214事業のうち「まあバイオマスとしては認められる」というものはわずか35事業で、最終的に成功したものはゼロだという。

この事業に投入されたのは国の税金は総額で64兆円、これを納税者1人あたりにすると大体1人あたり10万円の税金に相当する。
まずは開発責任者と関係者に弁償してもらい、税金を還付するべきだろう.

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ニュース(3):

「二酸化炭素(CO2)の削減効果を数量的に把握していたのはわずか3施設だった。」

解説;

バイオマス・ニッポンは温暖化を防止するという建前のもとで、CO2を削減する効果があるとされていたが、現実には実施された事業でCO2が削減されたかを測定していたのはほとんどない(3施設のみ)ということで、実に杜撰である.

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6.4兆円の税金を使ったからということもあるが、政府が正式に大きな政策を閣議決定し、おそれ多くもそれによって血税を使い、「バイオマス・ニッポン」という名前で実施した事業が、成果「ゼロ」ということだ。

これには訳がある.

バイオマスというのは太陽の光でできたものを利用するというものだが、太陽のエネルギーは私たちが今、使っている石油、電気などに比べてエネルギーは極端に「薄い(弱い)」。

だから、それを使ったり(薪をストーブにくべたり)、再生したり(家畜の糞から水素を得る)するには、これまでとまったく違う技術が求められる.

それなのに政府が認可した214事業には「革新的技術」は含まれていない。つまり最初から学問的に計算すればダメに決まっているものを「税金だから良い」といってお金をばらまいたものだ。

「エコポイントでCO2を減らす計算が間違いで、環境省はその計算レポートを無くしてしまった」という事件と同じで、国民からの税金などどう使っても良いという政府の感覚が良く見て取れる.

「バイオマス」というと良いことのように見えるが、「バイオエタノール」は食料価格を2倍に上げるのにだけ役だっただけだった。

もみ手をして笑顔で近づく人が危ないように、美しくやさしいように見えるコピーには裏がある.

バイオマスでお金をもらった214事業の人の内、一人でも非を認めてお金を返すぐらいの誠意を持ってもらいたい。民間なら成果がでなければ自分でかぶるのだから。

(平成2335日 執筆)