地球が温暖化するかどうか、そして温暖化に寄ってどのような問題が起こるかということはわたくしたちにとって大変に重要な問題なのに、日本のマスメディアは、事実を伝えようとしなかった。

その極端なものが、 NHK のツバル報道やホッキョクグマの報道で、やらせ報道とか詐欺といってもよいような報道だった。

最近それが少し少なくなってきたと思ったら、またぞろ奇妙な記事が出るようになった。

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今度は毎日新聞が2011年1月30日付けで

「温室効果ガス:豪雨・洪水増、気象データで因果関係を裏付け」

という見出しで、

「人間の活動によって大気中に排出された温室効果ガスが、豪雨や洪水が起きる危険性を高めたとする研究結果を、カナダや英国、日本の国立環境研究所などのチームが実際の気象データを用いた解析でまとめ、英科学誌ネイチャーに発表した。」

とある。

この記事については東京大学の渡辺正先生が強く警告している。全く記事にならないようなガサネタを取上げたものである。温暖化は学問だから、先入観に基づく方向性を持った記事は困る.

この記事にはさらに

「英国や国立環境研究所のチームは、英国で2000年秋に洪水被害を引き起こした記録的豪雨を分析。局所的な異常気象を再現できる高性能の計算モデルを使って実験したところ、温室効果ガスの増加が洪水のリスクを20%以上増大させた可能性が高いとの結論をまとめた。」

とある。

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専門家の間では事実はすでにわかっている。

確かに、2000年にはイギリスで洪水があって大規模な浸水が見られたが、それは別の理由であって特に2000年に雨量が急増したわけでもない。

次のグラフはそれをはっきりと示している。

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このグラフでは、20世紀のイングランドの雨量はほぼ変化がなく、70年毎に極端に雨が降ることがあるということを示している。2000年はそれに当たっている.

一方、地球の気温は20世紀にかなり高くなったと言われており、もしも温暖化によってイングランドの雨量が増えるのならば、20世紀の初めよりも後半に雨量の多い年が増えるはずではずだからだ。

コンピューターシミュレーションをして温暖化したら雨量が増えるはずであるという計算をするのは容易である。しかしその結果が現実の気象の状態を示していなければならない。

このコンピューターシミュレーションの結果が現実と合わないことは専門家ではよく知られたことである。

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温暖化によるツバルが沈むという報道の時に、現実にはツバルが沈んでいないということは専門家は知っていた。

ホッキョクグマが温暖化で苦しんでいるという児童用の歌がテレビで流されたときに、専門家は北極の氷の面積はほとんど変わっておらず、従ってホッキョクグマが温暖化で苦しんでいないことを知っていた。

わたくしは最近、マスコミの誤報の問題は同時に専門家の問題ではないかと強く思っている。

つまりマスコミの記者は一つのことをそれ程、勉強する時間もないし、また現実にも勉強していない。特に科学的なことでは記者は知識が無いのも残念ながら事実である.

ところが記者は必ず専門家に取材をする。だから、その専門家が誠意を持って答えれば実はかなり正確に報道されるはずである。

今回の場合もイングランドの雨量についてそれが昔からあまり変わっていないということは専門家は知っている。

しかも、それに加えてこのいい加減な結果を示した論文については、すでに異議が申し立てられていること、さらにこの論文を書いた人が IPCC の主力メンバーであり、ややいかがわしい人物であるということも知っている。

専門家がもし、日本の多くの人に事実を知ってもらいたいと思うならば、記者に必ずこの記事の矛盾点について指摘したはずだからである。

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「日本の国民に正しいことを知らせはいけない」という確信は政府も専門家も NHK もともに強い信念で行動している。

なぜ、民主主義の世界なのに日本の政府、専門家、NHが日本の国民に正しいことを知らせてはいけないと思っているのか、それは疑問である。

恐らくは政策の実行するためには民に知らしめてはいけないこと、研究費の獲得には政府の施策に反してはいけないこと、そして無辜の国民の視聴率を高くするためには政府と同じ報道をすること、を守っているのだろう.

でも、それ程までに日本の政府、専門家、 NHK の記者の誠実さがなくなったのかと考えるのも残念だ。

いずれにしても今回の記事は、せっかく地球温暖化に関する道がやや事実に近くなって来たところだから、非常に残念なことであった。

(平成2333日 執筆)