昨年までオーストラリアは「干ばつ」という「異常気象」が続き、世界の食料価格に大きく影響したと日本では報道された。また、いつものように、この異常気象は地球温暖化とどういう関係があるのか科学的に分かっていないのにさも関係があるようにも言われている.

まだ、北半球のCO2がどのように南半球に流れるかの研究結果が少し出てきたところだから、到底、オーストラリアの気象と温暖化など分かるはずもない。

ところで、今年は一転してオーストラリアは「豪雨」という「異常気象」に変わったと日本では報道されていた。

特にオーストラリア東海岸のブリスベン(郊外も入れると人口約200万人)は洪水で壊滅的な打撃を受けたという映像が流れ、日本から派遣された女性のアナウンサーがテレビで叫んでいた。

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でも、実際にブリスベンで見てみると・・・

1)   洪水の原因・・・ダムの調整間違い
昨年まで干ばつが続き、水が不足したので、ブリスベンに流れ込む河川の上流のダムは「干ばつ用」に調整されていた。
今年に入って雨量が多かったのに、サボって(あるいは判断を間違えて)干ばつのままダムを運用し、満水状態にあった。
そこに雨が降って川が増水し、やむを得ずダムが放水し、それがブリスベンの洪水となった。

2)   河川の決壊防止不足
決壊したのはブリスベン川だが、この川は蛇行が激しい川で雨量が多いと決壊しやすい。
それにも拘わらず「楽しむのを優先するオーストラリア人」は護岸をあまりしていない。理由はブリスベン川でヨットを楽しむために護岸工事が歓迎されないからだ。つまり、「災害防止」より「遊び」を重んじるオーストラリア人の特徴が見て取れる.

3)   直前の防御ものんびり
ダムの調整失敗から洪水は事前に予知され、警告もされていたが、のんびりしたオーストラリア人は、洪水がおこったその日に急いで対策を練るという状態だった。
それでも、事前に分かっていたので、コンビニの商品などは全て売れたり、片付けられたりして、損害は市の一部に限定されそれほど大きく無かった。
私が言ったときには表通りはすっかり綺麗になっていた。今回のブリスベンの洪水は市の全体ではなくもっとも標高の低いブリスベン川からせいぜい50メートルぐらいの範囲に止まっている.

現地に行ってみると、あれほど酷いとされた洪水だったのに、街には少なくとも表面的には傷跡はない。建物もすべて正常に戻っている.

現実と報道とずいぶん違う。そういえば、日本のニュースではブリスベンのどのぐらいの面積が水没したのか、過去の降水量とどの程度の関係があったのか、定量的な関係はなかった。

ブリスベン市の75%が冠水したという報道と、冠水は2万戸(200万人の内の)という報道などがあり、さらに調べようと思っている.

いったい、日本の報道は何のためにあるのだろうか?

(平成23228日 ブリスベンにて)