最近では何が起こっても地球温暖化に原因を求めることができるので簡単ですが、日本のように温帯の島国では気象はそれほど安定していないので、長い年月では時々、大きな変化が起こります。

江戸時代では4回の大飢饉が有名です。江戸時代は西暦1600年近くにできて、それから40年後の寛永の大飢饉(1642)90年後の享保の大飢饉(1732)50年後の天明の大飢饉(1782年)、そして最後に天保の大飢饉(1832年の1年後)がおこっています.

これらを見ますと、だいたい40年から90年ぐらいの間に激しい気象などの変化が定期的にあったことが判ります。

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これらの大飢饉の中でも、一番最初の寛永の大飢饉ではまず牛疫と呼ばれるウシの病気がはやります。現在の口蹄疫と同じくウィルスが原因です。

もっとも、この病気はすでに4000年前頃にエジプトで発見されていますし、今から300年程前にはヨーロッパで流行して、実に2億頭のウシが死亡しています。

日本では1922年が牛疫の流行の最後で、それ以後は発生がなく、世界的にもこのウイルスを押さえ込んだとして,撲滅宣言が出される見込みです。

いずれにしても、最初にウシの病気が発生し、それに続いて大きな噴火が起こりました。このために噴煙が日本の北の地方の空を覆い、翌年には異常気象、さらに冷夏で本格的な飢饉に見舞われています。

2010年に宮崎県が苦しんだ口蹄疫や、2011年の新燃岳の噴火がつづき、ウシの病気と火山の噴火と続くと、私はなにか寛永の時代を思いだします.

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もっとも、恐らくは日本という自然を考えますと、動物や植物の病気や火山の噴火、気象変動などは、ある意味では標準的な日本の最大の一つかもしれません。

日本がもし、熱帯とか寒帯に位置していれば、一年中、気温は30℃以上で暑いし、寒帯なら寒いとか気温は同じような状態が続きます。

そして、熱帯では「冷たい高気圧」がやってくるなどということはなく、熱帯でも「寒波」が襲うことは何100年に一度というように、むしろ気温は安定しています.

ところが、温帯ですと、昨年の夏の暑さのように太平洋の海の流れが少し変わっただけで、暖かい海水が日本も周りを取り囲み、それによって猛暑になるというようなことが起こるのです。

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神様がおられるというわけではありませんが、季候の良い日本列島は時々、異常気象に襲われるし、気象が悪いところは安定しているということにも気がつきます。

日本列島は温帯に位置していて、四季折々、山紫水明、おいしい水道が飲めるのも世界で7か国と言われるよい自然と気候ですが、その半面、何か変動があるとその変化を受けやすいという欠陥もあります。

それに加えて、最近では都市の設計とか農作物の作付けもしくは収穫などで、自然の恐ろしさを軽視して余裕がなくなってきたことも災害を増幅させている原因の一つになっています.

私にはなんでも「温暖化だ」と言う人を見ると、「自然は荒れる」、「自然は怖い」という感覚を無くした平成狂想曲のようにも見えます.

(平成2326日 執筆)