こんな風に聞かれると、まず「女性」というのに引っかかる人もいるでしょう.だいたい、あることを考える時に、「女性」とか「男性」とひとくくりするのが間違っていると異を唱える女性も多くおられます.

そのことはとりあえず横においていください。というのは、ここで問題にする調査は「男女共同参画」という内閣府の数字を元にしていて、そこにはどんなデータも「男性と女性」を区別しているからです。

内閣府の調査、「女性は子供を持たないと幸福になれないか?」という問いかけに対して、20才代の女性は70%が「そんなことはない」と答えています.つまり、最近の若い女性は「子供を持たなくても女性の幸福はある」と思っていると言えます.

それが40才代になると50%、つまり半分になり、60才代のご年配の女性は60%が「子供がいなければ女性は不幸だ」と答えています.

この世論調査は2009年、内閣府の(おそらくどこかに外注しているとは思うけれど)発表。

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世論調査や統計の数字というのは難しいものです。私はこの数字を見て、「なるほど、最近の若い女性は結婚とか子供にこだわらないようになったと言われているけれど、本当だな」と最初は、すぐ納得してしまったのです。

でも、その後、調査の内容を見ていると別の事に気がつきました。

この調査はけっこう長く実施されていて、最初は1992年ですが、その後20年ほどの間、年齢が違っても同じ回答をしているのです.

つまり、1995年ごろから、

「女性は子供を持った方が幸福か?」

という質問に、ざっと言うと、

●全平均すると女性の60%が同意、40%がNO

であり、年代別には、

●20代の女性は30%が同意、70%がNO

●40代の女性は50%が同意、50%がNO

●60代の女性は70%が同意、30%がNO

というようになっています。

あれっ!と私は思いまた。1995年に27歳の人は、2009年には41歳になっているのです(つまり、1990年代の最初の頃の調査では「20代」だが、2010年ぐらいには「40代」になっている)。

繰り返しますと、調査の期間が20年近く続いているのに、その間、全体の回答は変化がないのです!

・・・ということは・・・

最近の20代の女性が「女性の幸福には子供は関係ない」と思っている訳ではなく、今から20ほど前の20代の女性も同じ考えだということで、の20代の女性が40代になると、同じ女性が「女性にとって子供は必要だ」という考えに変わっているだけなのです。

時代の変化」で考えが変わるのではなく、「年を取る」と考えが変わることを意味しています.

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20代の時はまだ将来に余裕がありますし、体も元気なので「子供がいなくても」となり、40代になると回りの友達が子供と楽しく暮らしているのを見たり、自分の将来が少し見えてくるので、「子供がいた方がよい」と思うのでしょう.

でも、その年代になると今度は子供を生むこと自体が難しくなります.

人生というものは本当の事が分かる時には「すでに遅い」ということが多いものです。これは男性の職場にもあって、若い頃、元気いっぱい暴れまくって敵を多く作り、40代になってみんなの協力が必要になる頃には「ああ、若い頃、あんなに自己主張しない方がよかった」と臍をかんでもその時には「すでに遅い」ということがあります。

人生で起こるこのような事を避けるためには「タブー」とか「因習」というのが役立ちます.最近では個人の人生の自由を束縛するものとしてとらえられていますが、なにか自分には分からない内に親の言うままに結婚し、子供をもうけなければならない社会もそれなりに意味を持っています.

でも、そのような社会に2度と再び帰ることはできませんが、その代わりに今は「情報」というのがあり、その情報を聞く耳と心を持っていることが、かつての「タブー」や「因習」に代わるものになっているのでしょう。

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今回の話は、「統計は正確でも、そのとらえ方によって結論が代わることがある」という例として取り上げましたが、その背後には人生の機微を感じる事ができます。

(平成23114日 執筆)