かつて(3年前)、私は「国債は買ってはいけない(東洋経済)」を出版し、なぜ年金が破綻したのか、なぜ今のお年寄りが悲惨な生活を強いられているのか、将来の年金は破綻するのか?という3つのことを(理科系の人間として)詳細に計算し、次の結論と考え方を提言した。

1)    (大前提)計算の基準を2000年とする(65歳以上の一人を15歳から64歳までの4人が世話をする)状態とする。

2)    (前提) 経済成長率を2%、失業率5%、電子化による労働生産性の向上、女性の社会進出見通し、人口分布を計算して、30年後、つまり2000年の状態から見て、2030年はどうなるのかを計算した。

3)    (結果) 現在の年金拠出割合を維持すると、2030年には、59歳で年金の受給が可能になる.

4)    (考察) 現在の支給年齢65歳が59歳に下がるのは、労働生産性の向上と女性の社会進出による。逆に見れば、もし65歳からの年金支給を続ければ、経済成長率が2%しか維持できなければ、電子化と女性の社会進出によって失業率が増大すると言う結論も得られる.

なにしろ、この結論の全体像を書くために一冊の本になったのだから、ここでその全てを書くことはできないが、前提と結果は上のようになった。

それにも拘わらず、なぜ「将来の年金は破綻する」と言われたり、「事実、現在のお年寄りの生活は悲惨だ」という現実があるのか(悲惨な老人は実に多い)という事の差もその本で明らかにしているが、要約すると次の通り.

1)   1961年に年金(特殊なものはもっと古いが)が始まったとき、政府や専門家は「これからは日本も「揺りかごから墓場まで」国が面倒を見る社会になり、従って家庭は要らない」と大々的に継続的に広報した、

2)   その結果、おおくの国民は政府を信用し、家庭は崩壊し、人生の後半のための貯蓄を怠った(人も多かった)、

3)   ところが、もともと日本の年金は「積み立て」が主力なので、経済成長と両立せず、破綻は原理的だった(詳しい計算は上記の本に記載)、

4)   それに加えて社会保険庁は、預かった年金資金を「自分のもの」と錯覚し、自分たちの給料、保養所などに浪費し、運用を失敗し、誤記を繰り返し、破綻した。

政府と専門家のダマシとも言えるが、(環境問題と同じように)それを信じた国民の方にも問題がある。

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日本社会はこのような現実を直視しようとせず、「子供の数を増やせば年金問題は解決する」という道を歩み始めた.つまり、「何が問題だったのか?」を考えようとしていない。

そして、子供の数が増えて、その人たちが年金を支える事になるのは、出生率が上がり(諸外国の例では20年ぐらいかかる)、雇用が増え(お年寄りの数が多いのにそれを支える若者をさらに増やせば、電子化と女性の就労で仕事はものすごく多くなければならない)なければならないから、今から50年ぐらいかかる。

その頃には、問題になっている「団塊の世代」の人は全てこの世を去り、「団塊の世代を支えるはずの「少子化対策」で増えた人」がお年寄りになっている.

しかも高度成長期のように日本国内に仕事を作って行くのは難しい。それでなくても企業は海外に工場を造りつつあり、あたらしいビジネスはできない。

つまり、近い将来に日本社会の負担になりそうな人たちの老後を支えようと、少子化対策をすると、日本は永久に人口と仕事を増やしていかなければならなくなるが、人口を増やしてもかつての高度成長のような時代が来なければ、失業率が増えるだけになる.

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実に簡単な計算だが、それすら議論されていない。レジ袋を追放したら温暖化が防止できると言うような見当外れの浅い論評に終始している.

この悪循環を見抜き、議論を深め、日本の将来を明るくするには、一度「年寄りは死ね」というところから始めないといけないと私は思っている.猛暑が来ると熱中症で500人が死ぬ.これも「CO2を削減しても何も変わらない」という現実を認めず、「対策は要らない。弱い者は死ね」と言っているのと同じで、年金も温暖化も政府と専門家の無責任は変わっていない。

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ところで、「国債は買ってはいけない」に書いた最終的な「解決法」は次のようなものだ。

1)   現金で年金をもらいたかったら、「その年限り」の決算をするしかない、

2)   お年寄りが豊かに暮らすには、「優しいお母さん方式」しか解決策はない。

私は日本人は一人一人が大切なので、若い人は希望を持ち、働いている人は張り切って、家庭生活は幸福、そしてお年寄りは豊かに生活するのが良いと思う。でも、そのためには、おおくの人が「社会全体を見る力」が必要で、さらに余りに単純な考えを捨てることと考えている.

このブログは、必ずしも書籍のようにまんべんなく、根拠も書き、系統的な事実と論理を提供することはできない。ただ、問題点を指摘し、考え方の一部を示したいと思っている.

でも、自分の口からは「もう少し詳しいことは著書で」とは言いにくい、このブログは著書を売り込もうとしているのではなく、ブログはあくまでもブログだからだけれど、今回だけは説明が必要と思い、私の書籍も紹介しつつ書いた。

年の瀬を迎え、じっくりと考えてみたいものである。

(平成221230日 執筆)