維新の志士、坂本龍馬がお姉さんのおとめさんに送った手紙に、

「ニッポンも今一度せんたく致し申し候」

とある。もともと坂本龍馬の家は商家で、おとめさんはそこから商家に嫁いでいるので、「せんたく」というひらがなで龍馬は「維新」を伝えている.

もともと、「維新」という言葉は中国の周の時代に一回だけ出てくるような珍しい言葉だが、「惟(これ)、新たにする」という意味だ。

「維新」は「革命」ではなく、「せんたく」である。

つまり、江戸時代の日本にはいろいろな問題はあったにしても、その価値をすべて壊す必要はない。むしろ江戸時代の日本はそれなりに良かった。

でも時代の流れとともに江戸幕府もよどみ、汚れが目立ち、シミがついた。だから「基本的なことは崩さずに、綺麗にしよう」という考えだ。

「せんたく(洗濯)」というのは、シャツを全部、切り刻むことではない。シャツはシャツなのだが、汚れたシャツを綺麗にするということだ。それをやろうとしていると龍馬は姉に伝えている.

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戦後の日本の政治が悪かったわけではない。

サンフランシスコ講和条約、朝鮮動乱、自衛隊、日米安保、所得倍増、高度成長とそれなりにやってきて、世界の奇跡と言われるほどの発展を遂げた。

欲が無限にあっても、この程度できればまあまあと言うべきだろう。問題点はあるが、良い点の方が多かった。

でも、戦後60年、さすがに日本にも汚れがついた。だから、「せんたく」が必要である。

そこで、日本人は自民党という古い汚れたシャツを洗濯して、民主党を選んだ。

でも、民主党ではダメだった。なぜダメかというと、民主党を作っている人たちが、残念ながら、「汚れたシャツの人たち」が多かったからだ。

その典型的な例が「鳩山首相、小沢幹事長」であり、この組み合わせは自民党で政権を取れなかったからという方がわかりがよい.つまり汚れたシャツの一部を切り取ったようなものだった。

だから、国民はがっかりして政権を交代するように参議院銀選挙でその意志を示した。

菅首相がその役割を果たせるかは疑問である。すでにやや汚れているからだ。その意味では軽い洗濯が必要である。

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つらつら考えてみると、人生でも、家庭でも、地域でも、政治でも、国家でも、地球でも・・・すべてのものは時間とともに汚れ、老化し、ダメになる.

これは、宇宙が誕生して以来、膨張しつづけている事によるのだが、それは現在の宇宙に存在するものの業である。

川も、誕生し、成長し、成熟し、老化してやがて死ぬ.星も、誕生し、成長し、成熟し、老化してやがて死ぬ.

シャツも、誕生し、使われ、汚れ、洗濯され、また使われ、そのうち、ボロボロになって焼却される.それ以外に方法はない。

日本には「力があり、誠実なせんたくをする党」が欲しい。それができたら、日本は新たに清潔な日本になるだろう。

(平成22103日 執筆)