菅首相が「日韓併合」についての反省の弁を述べたということで議論が起こっている.
1910年の日韓併合が悪いということになると、1904年の日露戦争は? 1894年の日清戦争は? 1963年の薩英戦争は? 1637年に李氏朝鮮が清の属国になったのは?
(この絵は薩英戦争。イギリスは日本(鹿児島湾)の奥深く入ってきて、薩摩藩の砲撃を受ける。この戦争はイギリス海軍がアジアで負けた唯一の戦いだったように思う。砲撃中は豪雨だったと思うが、この絵は雨が見えない。)
何が悪く、何は問題ではないのか? 一般の国民ならいろいろな考えがあるだろうが、専門家はどの時点から「戦争はいけない」と言っているのだろうか?
1842年に「地球の裏側」のイギリスは武力で清を破り、香港を清から割譲させ、植民地にした。イギリスは白人だから許されるが、日本人は有色人種だから許されないという理屈か?
1945年に集結した第二次世界大戦まで、世界は「正々堂々と主張して宣戦布告して戦争し、力ずくで相手をやっつけて国土を占領することは正しい」とされていた。
まして日韓併合のように平和裡に両国の代表者がサインしたようなものを「不当だ」というと、世界史を語ることができなくなる.
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もちろん、こんな日本に都合のよい理屈を韓国がすぐに納得するはずはないが、このような白人が作った理不尽な理屈を「310万人の犠牲を払って打ち破った」のは、他ならぬ第二次世界大戦の時の日本人だった。
日本は矛盾した行動をした。一方で白人が占領している植民地を解放し、一方では朝鮮、台湾、満州などに手を伸ばした。そのことが、その時代の日本の行動として批判されるべきだろうか?
その時代の渦中にあって、一部は「大東亜共栄圏」といってアジア解放の概念もあったし、一部は「日本が白人と同じように行動してよい」という考えもあった。
白人の国家の強大な軍事力を前にして、もがきながらの90年(1855年から1945年)だったというのが正直なところだろう.
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長く世界中を占領したイギリス、太平洋の反対まででてきて「フィリピンやグアムが防衛の最前線だ。占領して何が悪い」と言っていたアメリカ。
それに対して「日本人の疲れ」は、「自分だけが時代背景も無視して「よい子」だったと言いたくて、自分で自分の首を絞めて疲れた」と感じられる。
日本人も一度、イギリス人かアメリカ人になって考えてみたらどうだろうか?
また、日本人のインテリはなぜ「日本人は有色人種だから、白人のイギリスやアメリカとおなじことをしても批判されるべきだ」ということを言い続けているのだろうか? どうも調べてもそこがハッキリしない。
(平成22年8月19日 執筆)