(この放送(文字放送)は、日本の偏ったメディアによって事実を知らされない人に対して、海外からの情報をできるだけ平易に伝えるものです。)

「第4回気象変動に関する国際会議(ICCC)」が2010年5月、シカゴで行われた。名称は国連のIPCC(気象変動に関する政府間パネル)に似ているが、IPCCが政治的機関であるのに対して、ICCCは温暖化を研究する学術的機関である。

第4回の会議はアメリカを中心として全世界から700名が集まり、自由な発表と討論を行った。

もっとも注目されたのは、今世紀に入ってCO2はかなりの速度で増えているのに対して、世界の平均気温はほとんど変化していないという報告だった。

Iccc

左の図で斜めに右上がりになっている緑の線が「CO2の濃度変化」で、1998年以来、10年間、一貫して上昇している.それに対して世界の平均気温は2つの測定結果(赤CRUT, MSU)ともにほとんど変化していない.

(注:日本人の多くはこのようなデータに接していないので(一部、日経新聞が報じたことがある)、信じられないと思うけれど、このデータは専門家の間では比較的、知られているものだ。)

このことについて、クライメートゲート事件で責任を問われているIPCCのイーストアングリア大学のジョーンズ所長ですら、

「過去15年間ではっきりした地球温暖化は起こっていない」

とコメントしている.

「CO2が温暖化の原因だ」というIPCCの主張は、事実とまったく一致していないことを示している.また「温暖化しているから異常気象が頻発している」と言われているが、気温が上がっていないので、むしろ、「異常気象は気温とは関係がない」という証拠にもなっている.

また、アメリカからは1895年から2009年までの114年間のアメリカ東北部の地上の気温の測定値が示され、この地域のCO2濃度が高くなっているにも係わらず、気温はほぼ一定であることが示された。

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図の黒い棒グラフはCO2の排出量で、19世紀の終わりにはわずかに1000MMTほどであったのが、2009年には32,000MMTと30倍ほどになっている。

それにもかかわらずアメリカ東北部の気温は赤線で示されているようにほとんど変化がない。

つまり「CO2を排出することと気温とは無関係」であることをデータが示している.

ICCCではこのように次々とこれまでのIPCCと異なるデータが提出されたが、これについて、プリンストン大学のWilliam Happer教授は、

「IPCCとは科学の仮面をかぶったロビー団体」

と解説した.

(平成2288日 執筆)

(私見) 今回の発表はIPCCのデータの信頼性を疑わせるのにかなり重要であるが、IPCC側や日本の国立環境研究所などは「一部、データには不誠実なところはあったが、全体としては正しい」と言っている.でも、学問をするものとしては、「錯覚や間違い」ではなく、意図的にデータを細工した場合には、それがどんなに小さなことでも、表舞台からは去らなければならない。その点で「小さいところでデータのねつ造があったが、それは大勢に影響がない」というコメントをする人は自分でもやっているような印象がぬぐえない。

もう一つ、温暖化報道も良いが、このように反論とか、冷夏のところもあるのだから、「自分たち(NHK)」に都合のよい情報だけを流さないで欲しいと私は切に願っている.普通の人はICCCの会議報告(英語)などゆっくり読んでいる暇は無いのだから。