民主党が参議院議員選挙で敗北すると、その一つの原因となった消費税の話はでなくなった。

民主党が敗北した原因の一つが消費税10%であることは確かだが、その背景にあるのは、高速道路にしても、消費税にしても、行き当たりばったりで言うことに誠意がないということにつきるだろう.

ところで、消費税の代わりに貯蓄税が出てきた。

変な理屈が通っている.つまり、「消費が弱いから不景気になっているのに消費税をかけるとさらに消費が弱くなる。だから貯蓄に税金をかければ貯蓄が消費に回るから良い」ということだ。

なかなか巧妙な話である.

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会社に勤めているサラリーマンを考えてみよう.

その会社がもうけると法人税を取られる.法人税は「会社が取られる税金」のように見えるが、実際にその会社の儲けを出しているのは従業員だから、ここで一回、税金を取られる.

従業員が集団で税金を払うようなものだ。

もっとも従業員の賃金を払った残りの収益に税金がかかるが、それは順番の問題であって、全体の収支にかかっている.

従業員が賃金をもらうとそこから所得税と地方税を取られる.これが2度目である.法人税に対して「個人個人が払う」という形をとって2回目の支払いとなる.

その従業員が一時的に給料を貯金すると、そこに貯蓄税がかかる。3度目の課税だ.

貯金(預金)をおろしてシャツを買うと消費税がかかる。4度目.

さらに、その人が贈与したり亡くなったりすると贈与税や相続税がかかる。5度目である.

つまり、会社で稼いだとき、個人が分配されたとき、貯金したとき、消費したとき、死んだとき・・・少しでも国民に何かあるとお金を取ろうとしているのだから、役人も乞食になるはずだ。

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でも、奇妙なことがある。

「貯金されているお金は動かないから生きていないお金だ。だから貯金を下ろすような税金が良い」と言って貯蓄税が議論されているが、銀行に預金したお金は金庫にしまわれてジッと静かにしているのだろうか?

消費に回らないお金などあるのだろうか?

銀行のお金は直ちに貸し出される.昔は企業に貸していたので、付加価値を生んだから、貯金するようも損にはならなかったが、今では企業が借りない.

そこで、付加価値を生まない国が国債を出してそのお金を吸い取る.国債は福祉などに使うが、そのまま消費されるのは同じだ.そして国民預金を下ろしに行くと、国は増税して返す.

国は消費するだけだから、国債を返還できない.税金を上げるだけだ。だから、自分で直接、商品を買うのと、貯金するのと、消費税が上がるのは全部、同じだ。

違うのは、次の2つ・・・

自分で買えば、自分の好きなものが買えて、役人や銀行の手数料がない。

自分が銀行に預ければ、「国民全体が平均的に欲しいもの」が買えるが、役人や銀行の手数料が差し引かれるので、8割ぐらいしか買えない.

でも、8割は使えるし、そのお金は次世代の人が払ってくれるので、自分のことだけを考えれば貯蓄も悪くない.

守銭奴にとって、うまいやり方は、

1)   貯蓄をする、

2)   国債が発行される、

3)   国債のお金でエコポイントが出る、

4)   それを使ってテレビを買う

5)   しばらく経って貯金をおろす

6)   国債の借金は子供に任す

というやり方だ。

25万円を貯金すれば、役人と銀行で5万円の手数料を取って20万円のエコポイントを使うことができる.そして銀行に預金を下ろしに行けば25万円が帰ってくる.

だから、お金を払わないで20万円が手に入る.それは子供たちが払うのだから、関係がない。

25万円の保証金を払って20万円を使い、25万円は子孫につけるというやり方である。

・・・父母が亡くなったことを隠して年金をもらう子供がいる。本来は、子供が年老いた父母を養うのが逆になっている。多くの人が批判しているが、日本人の多くが守銭奴になったのだから、特に批判できないのではないか?

お金のために何でもやるというなら、貯金とエコポイント(補助金なども同じ)はなかなか良い方法だ.

魂を売ってお金を手に入れることができる。

(平成2286日 執筆)

(追記)

「消費を盛んにするべきだ」と言っている人が、つい最近まで「CO2を減らすために節約しろ」と叫んでいた.なぜ、そんな人をコメンテーターに使うのだろうか?