夏は寝苦しい。でも、少しのんびり鳥のことでも考えてみたい.
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オオソリハシシギという渡り鳥は、秋になると越冬するために、遙かホッキョクの近くのアラスカから、赤道を越えてオーストラリアまで飛ぶ。
いくら冬になると寒くなるといっても、赤道を越えなくてもフロリダかメキシコぐらいで良いのに、何もそこまで行くのだろうかと思うけれど、シギにはシギの理屈があって、そうしたいのだろう.
地球を北から南に行くのだから、大変なものだ。
ところで、シギは渡り鳥といってもジャンボジェット機とは飛行速度が違う.わずか体長40センチぐらいなのだから、アラスカからオーストラリアまで約1週間はかかる.
この1週間の渡りで、海に降りて休んだり、魚を捕ったりするのかと思ったら、まったく「休まず、食わず」で飛び続ける。体重は、渡りが終わったときには飛び立つときの半分になる。
睡眠はどうか?・・・飛び続けるのだから、寝ることができない。そこで「半球睡眠」というのをする。
まず、右目を閉じて左の脳が寝て、次に左の目を閉じて右の脳が寝る.それを交互に繰り返すのだ。
動物の神経は頭と体で左右が入れ替わる.だから右目を閉じて左脳が眠り、左目を閉じて右脳が休む.「半球睡眠」でも目を閉じなければ眠れないらしい.
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生物は実に素晴らしい.人間のように「眠れない」などと愚痴をこぼさず、どうしても飛び続けなければならないということになると、脳を分割して半分ずつ寝るという離れ業を演じる.
他の動物はどうだろうか?
イルカは哺乳動物だから、海の中でゆっくり寝るとおぼれる.そこで、一回1分で一日400回寝る.つまり合計すると400分、約7時間睡眠だ.
渡り鳥は寝ると墜落し、イルカは寝るとおぼれる.なかなか辛いものだ。
それに比べると、人間の近くにいる猫は、いつもゆっくり寝ている。一日の睡眠時間は13時間で、一回(一睡眠という)につき90分.それ以上は連続して寝ない.
動物にとって睡眠中というのは危険だから、ゆっくり筋肉を休めるのはライオンと人間ぐらいなものだ。猫は人間に守られているので一睡眠が長いが、多くの動物は短い眠りを繰り返し、筋肉をゆるめずに絶えず逃げる準備を整えていく。
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ところで、人間と動物の眠りで違うことが一つある。それは人間が「頭を十分に休める」必要があるということだ。
体だけなら人間も4時間半ぐらいで睡眠は十分だが、それから頭を休める.これに2時間半はかかる。睡眠は90分が一区切りだから、できれば3時間がキリがよい.
このことは前に書いたが、いずれにしても、4時間半は体を横にしていて、ゆったりとした気分でいれば、意識は寝て無くても良い。だから、寝苦しい夏の夜だけれど、あまり睡眠できるかと神経質にならない方が良いだろう。
夏は眠れないが、それだけ考えが進む。悪いことだけではない。
(平成22年8月4日 執筆)