寝苦しい夏がまだ少し続く。思い出せば、ずいぶん、眠れない夜に苦しんだものだ。
若い頃の私の不眠症はひどく、毎日、床(とこ)につくのが怖かった。また、眠れない夜が訪れ、朝方まで寝返りを打ちつつ、あの退屈な時が過ぎるのを待つのかと思うと気が滅入った.
いろいろな試みをしてきた。睡眠薬、お酒、ナイトミルク、ラジオ、テレビ(テレビをつけておくということ)、午後4時以後はお茶を飲まない・・・でも、全ては失敗した.
今は、かまわずお茶を飲み、ただ床につく。寝れなければ寝ない。横になっているだけだし、退屈になればテレビをつけたり、ラジオを聞いたり、したい放題だ.
でも、体を7時間、横にしていれば、2,3時間はウトウトする。それだけで体も頭も大丈夫ということを経験で知っている.
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アメリカ人の平均寿命は78歳、睡眠時間は8時間30分
日本人の平均寿命は83歳、睡眠時間は7時間30分
睡眠時間が短い方が長寿だ.
でも、世間で言う「睡眠時間」というのは実に怪しい。それは「ぐっすり眠っている時間」なのか、「床についている時間」なのかというと、「床についている時間」だろう。
だから、「眠る」というのと、「床についている」というのは同じではないかと思う.
もちろん、学問的には、「体が休む睡眠」と「頭が休む睡眠」(本当は、レム・・というのだが、普通の人にはわかりにくいので、体睡眠、頭睡眠と呼んだ方が良いと思う)に分かれている。
原始的な動物は睡眠ということ自体があまり発達していないし、頭脳が小さい動物は「体睡眠」がほとんどだ.
だから、人間のように体と頭を休める必要がある哺乳動物は、睡眠が大切になる。
でも、体睡眠を4時間30分ぐらいすると、後は3時間ほど頭睡眠だ。だから、床について4時間30分を過ごし、3時間ほどウトウトとすると何とかしのげる.
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自殺未遂者に睡眠障害の人が多いことでも分かるように、睡眠が人間にとってとても大切なことは確かだが、あまり神経質になる必要はないだろう.
つまりウトウトすることも入れて、「睡眠」=「床についていること」とすると、「不眠症」から解放される人が多いだろうからである。
ちなみに、病的な場合を除き、「眠れないから死んだ」という人はまれで、眠れないから睡眠薬を多用したり、アルコール依存症になる方が危険性が高いのも事実だ。
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夏は辛い.でも暑い夏があるから、海も楽しめるし、そよ風の吹く秋が恋しい.
(平成22年8月1日 執筆)