「ねじれ国会」という言葉が盛んに使われる.どうも、「ねじれ」というのは、衆議院は民主党が過半数を占めているが、参議院は民主党が過半数を占めていないということを言っているらしい.
でも、それを「ねじれ」と表現するのは正しいのだろうか?
もともと参議院があるのは、衆議院だけでは日本にとって法律は重要だから、二院で審議しようと言うことだ。そして、今まで「参議院の独立性が大切だ」などと言ってきた.
今のように「衆議院で多数を取ったら、議論もせず、数の力で何でも押し通す」というのは憲法の精神でも民主主義から言っても適切ではない.
だから、参議院が衆議院と勢力が違うから、それを「ねじれ」と言い、「ねじれ」ているから政策を進められないというなら、なぜ、今まで参議院の独立性が大切などと言っていたのだろうか?
テレビのコメンテーターなどにも一貫性とぶれない発言を期待したい.
国会は決して「ねじれ」てはいない。もともと衆議院と参議院があるのだから、大いに議論して欲しい.
アメリカに学びたくはないが、アメリカの大統領が所属する政党と議会の多数が違うことは多い.でも、日本の新聞はそれを「ねじれ」とは呼ばない.
どうもねじれているのはマスコミの方ではないか。
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言葉は慎重に使いたい。特に新聞やテレビは言葉が肝心だから、仮にも繰り返し使う用語については、自分たち自身が矛盾していないかよくよく考えなければならないだろう.
新聞の言葉というと、最近、目立つのは「温度差」という用語である.最初、聞いたときには「何℃、違うのか」と錯覚したものだ。
もちろん「温度差」というのは温度の違いを言い、摂氏何℃違うということだ。ところがマスコミ用語ではなにか違う意味で使われている.
記者と新聞社内だけで分かっているのだろう.もしかすると、曖昧な用語を使用することによって事実を正確に伝えたくないのかも知れない。
用語の使い方なども含めて、政治を良くしていくのは一つ一つ、しっかりしていかなければならないだろう.その意味で、「ねじれ国会」とか、「温度差」という用語を使うのをやめて欲しいと思う.
(平成22年7月30日 執筆)