「悪玉」コレステロールなどコレステロールの前に「悪玉」とか「善玉」とつけるのは事実とは違います。

自分の健康のことですから、いい加減な解説に右往左往せずに、しっかりと知識を身につけていきたいと思います。

ときどき、健康の話をしていますと、コレステロールは「悪い物」と思っておられる方に出会います。おそらく、新聞かテレビのいい加減な解説者にだまされたのでしょう。

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キチンとしたデータをまず示したいと思います。

1990年にフィンランドのムルヅームが調査した例では、コレステロールを減らすと、心筋梗塞だけは少し減りますが、ガンになるのが43%も増え、自殺に至っては78%も増加しています。

つまりコレステロールを下げると、死亡率は7%も増加するのです。

同じようなデータがいくつもあります。

たとえば、1981年のハワイ日系人8000人の調査でもコレステロールが低いとガンが大きく増大しています。このデータはよくグラフで示されることがあります。

同じ傾向は、東京都老人総合研究所でも埼玉県に住んでおられる方3000名以上の10年間の調査でもハッキリしていて、コレステロールが低い人(男性90-170, 女性91-182)の人はガンが多いのです。

コレステロールが低いとガンや精神病になるのは間違いないので、コレステロールをむやみに減らすのはとても危険です。

また、ついでですが、リノール酸、エイコサペンタエン酸(EPAと略称し最近、健康に良いと言われている)、ドコサヘキサエン酸(DHAでこれも健康に良いとされている)などの「健康によい油」でも、多く採りすぎると障害がでます。

リノール酸を採りすぎると動脈硬化になり、DHAを採りすぎると白血球が少なくなります。

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あまりにも当たり前です。

コレステロールのほとんどは体内で合成されます。なぜコレステロールが体内で合成されるのかというと、「必要だから」に他なりません。

ここでは、なぜコレステロールが必要かについて難しいことは書きませんが、コレステロールが不足すると、人間の体内で作るのですから、「コレステロールは必要」なのです。

また、体に良いと言われるリノール酸やDHAも「必要以上に採ると有害である」というのもあまりにも当たり前です。

人間の体というのは、「食物や周囲環境から必要なものを採って」、不足しているものは自分の体で作って生きていくのが基本です。

本当は「昔通りの生活」をしていれば、それが「体に良い」ことであり、「体に良い食物」などは存在しないのです。

適度に美味しい物を食べ、適度に運動し、適度に休養する、そしてストレスの少ない生活をするのが一番です。

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健康の話をすると「医者でも無いのに」と言われますが、そこが現代の日本の「医療」の問題点です。

日本以外の国では救急車の中でも医師以外の人が治療をしますし、学校ではかなり高度な医学のことを教えます。

ところが、日本では医師会が「医療行為を独占する」という目的で、学校で医学を教えるのを禁止し、医師以外の人が医療行為をするのを抑えてきました。

医師会がそれほど悪いとは思っていませんが、病気やけがをした人を治療するのが医師の役割です。

だから、「医学の知識を持たせない」という教育は、国民を第一に考えると言うより、医師会の利害を大切にしてきたのも一面ですが、事実です。

また、医療というのは「病気やケガをした人を助ける」ということで、「健康な人をさらに健康にする」というのではありませんでした。

そして、今でも「医療」とは言えません。

「予防医学」というのがありますが、あくまでも「医学」で、しかも、「哲学」、「文学」、「社会学」などと調和しているわけではありません。

いわば私の専門の「工学」のようなものです。工学では人間がより快適に楽に生活できるように、あれこれと作り出しますが、それを社会が「実際に使うか」は別の問題です。

「便利だ」と言っても、他人に迷惑をかけるものや、ある地域では「環境」を破壊するものもありますので、工学は「ショーウィンドウに作品を飾るだけで、それを利用するかどうかは社会が決める」というスタンスです。

それと同じように、「予防医学」もいろいろご研究をするのですが、それを直接、社会に投入してはいけない、社会が選択するものです。

今回、解説した「コレステロール」も、予防医学をご研究されているある医学者がフライングしたもので、それに「無責任な解説者」が乗ったものと思います。

予防医学は医学者が行うのですが、「予防する」のは国民個人個人だからです。

(平成22713日 執筆)