日本列島は南北に長い。

地図を見るとわかるのだが、アメリカ合衆国やヨーロッパの南北の距離とさほど変わらない。北の北海道は亜寒帯に近いし、南の沖縄は亜熱帯に近い。だから温暖化問題のように「気温」が関係してくる時には「日本列島」と一言でいうのはあまり正しくないかも知れない。

せめて、北海道や東北、本州の中部、中国四国九州、そして沖縄小笠原に分けないと正しい影響を考えることもできない。しかも、日本のように海に囲まれている列島は、海流の影響を受ける。親潮、黒潮、そして対馬暖流やその他の海峡の海流などによって気候が変動するのはよく知られたことだ。

そこで、気温の影響をまずは北海道と沖縄に注目して、整理をしてみよう。

北海道の稚内。日本の北に位置するこの市の冬は厳しい。2月の最高気温(月別平均。以下同じ)がマイナス3℃、最低気温は実にマイナス8℃にもなる。

一方、日本の最南端、石垣島は素晴らしい陽光のもとにきれいに透き通った海が取り囲んでいる。台風の時期をのぞいて一年中、穏やかで石垣島で生活をしていて「生命の危険」などを感じることはない。

石垣の「厳冬期」の気温は最高が21℃、最低が15℃だから、とうてい「厳冬」とか「真冬」という表現はふさわしくない。稚内の真夏の最高気温が22℃、最低気温が17℃だから、ちょうど、「稚内の真夏は石垣の真冬」なのである。

ところが、奇妙なことがある。

石垣の夏の最高気温は31℃で冬と10℃しか違わない。大阪の夏の最高気温が33℃、最低気温が25℃と比較すると、大阪より遙か南の石垣島の方が「涼しい」という変なことになっている。

この原因の第一は「ヒートアイランド現象」で、日本のような現代社会は、「自然の気温」より「人工的な都市の気温」の方が遙かに影響が大きいことを示している。

この話がだんだん煮詰まってくると、「ヒートアイランドの警告」と「CO2の警告」があまりに違うことが徐々にわかってくる。

両方とも自然の変化ではなく、人工的変化である。しかし、CO2は「国家的大事業」としてその防止に関心が集まっているが、「ヒートアイランドは仕方がない」ということで今まではそれほどの関心を呼ばなかった。でも、CO2の問題を解きほぐすのに役に立つことを頭の片隅に入れておいて欲しい。

ところで、ヒートアイランド現象のために、「緯度と気温」についての逆転現象が現れている。

たとえば、大阪から石垣島に転勤になる人は、北の近畿地方から南の沖縄に行くのに、「涼しいところに行きます」ということになる。実に奇妙だ。

ヒートアイランド現象というのはCO2とは関係がなく、都市をビルや舗装で覆い、エアコンでビル内の温度を一定に保ち、さらに自動車などの「熱源」がぎっしり詰まっているから起こる現象である。

「昔からの日本の土地」というのは、樹木が育ち、畑があり、川が流れている。そのような場所では地表が暖まると植物の葉や土の表面、そして川面から水蒸気があがる。

 水が蒸発するには膨大な熱を必要とする。おおよそそこの水が500℃も高くなる熱と同じである。そんな熱を奪うので地表は冷え、その熱を抱いた水蒸気が上空で冷たくなり熱を放出して暖める。つまり、水が熱を循環してくれるのだ。

 エアコンや自動車がなくても、ビルや舗装だけでも都市の気温は高くなる。東京は100年で3.5℃近くあがったが、それは日本の中小都市が同じ100年で0,7℃あがったのに比較すると5倍にもなる。

 中小都市(宮崎、水戸など)と東京でも5倍も違うのだから、田舎と東京ではさらに気温の上がり方の差が大きいだろう。(田舎は100年前からの観測地がないので、科学的には比較できないが)

 日本地図を「気温地図」に直すとおもしろい。

 一番、北にあるのは稚内で、これは変わらないが、南の方は、北から、那覇、鹿児島、東京、石垣島、大阪と続く。東京は鹿児島とほぼ同じ、大阪が日本の最南端になる。

つまり、すでに東京や大阪は「CO2ではない温暖化」で、遙か南に移動しているのである。

(平成2273日 執筆)