2010年6月30日、サンケイ新聞は東京都のゲンゴロウについて短いニュースを流した。

水生昆虫ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)が東京都内から絶滅したことが30日、都がまとめた「東京都レッドリスト」で分かった。ナミゲンゴロウは体長3.5~4センチとわが国最大のゲンゴロウ。かつては全国の池沼や水田で見られ、食用にする地域もあった。
 リストは島嶼(とうしょ)部を除いた都内で絶滅したか、絶滅の恐れがある野生生物を掲載し、12年ぶりの改訂。ナミゲンゴロウは「絶滅種」に指定され、都は「田んぼなど湿地が減り、湖沼の環境が悪化したため」としている。ナミゲンゴロウのほか、多摩地区を中心に自生していたアズマギクなどが今回、新たに絶滅種となり、古民家の減少などから区部のニホンヤモリが「絶滅危惧(きぐ)種」に指定された。掲載種は改訂前から274種増え1577種となった。」

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この写真は2005年、東京のとあるビルの窓から撮影したものである。ビルが立ち並ぶ完全に人工的な空間、生物の影もない場所、東京というところはこういうところだ。

東京が悪いわけではない。そこに住んでいる人が悪人というわけでもない。そして、このような東京にしたのは、東京都民であり、彼らの選択である。

そこに住んでいる人が、その場所をどのようにしても、それは原則として構わない。地方自治である。

でも、東京の人は「コンクリートの中で住み、人間以外の生物はいらない」と宣言しているのだ。いまさら「ゲンゴロウ」はないだろう。

そして、私がいつも言っていること「いまさら、温暖化防止はないだろう」。自分たちが温暖化の犯人だからだ。

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でも、私は東京を支持する。

できるだけ所得は多いほうがよい。

夏の暑い日は団扇を使って汗を流し、我慢するよりエアコンがよい。

蚊にかまれるより薬剤散布で蚊を一網打尽にしたほうがよい。

長靴をはくより家の中が泥に汚れない全面舗装がよい。

ミミズがいなくなっても車の泥をかぶるより良い。

・・・かくして東京はこうなったのだから、そしてそれは私たちの長年の夢だったのだから・・・

もちろん、温暖化するだろう。あふれるほどのCO2を出し、エアコンを使い、そこに偉い人が住む。

もちろん、東京に住む人は「人間」ではなくなるだろう。人を思いやる気持ち、「月光」に感激する心、運命のままに生き、苦しまなくても死ぬ覚悟・・・それはこの空間では持つことができない。

だから、常に「自分だけは偉い、自分だけは恵まれていてもよい」というようになるのも理解できる。

自分はエアコンをつけるが地方は我慢しろ、ミンダナオ島には森林がいるが東京にはいらない、トラックの運転手は暑い運転席で仮眠をしろ、われわれはエアコンが効いたホテルでゆっくり休む、と東京は言う。

人間の心が破壊された人の住む魔界の町、それが東京だ。

そこには、ゲンゴロウはもちろん、そのうちにはスズメも、ハエも、蚊もいなくなるだろう。

そして霞が関では「生物多様性が大切だ。どうも今度の会議には国民が関心をよせない!」というどなり声が聞こえる。魔界の町:東京の人に支配されない地方を作りたい。

(平成2271日 執筆)