日本人に生まれてきたからだろう。私はその動物が家畜でも野生でも、可愛くてもそうでなくても、リスでもミミズでも、命の尊さは同じように感じる。
輪廻転生の思いがミームを通じて私に語りかける。
そんな私にとっては、毎年70万匹ものイヌとネコがガス室に入れられて窒息し、あるいは筋弛緩剤の注射で薬殺されるのは耐えられない。
ネットをみると多くの可愛いイヌやネコの映像が流れている。こんなにみんなが好きなのに、なぜ70万匹も大量に殺さなければならないのか、理解できない。
反対運動も起きなければ、マスコミも取り上げない。
ところが、温暖化が進んで100年後にはホッキョクグマが困るとか、絶滅して中国から別の種類のトキを輸入し、そのうちの一匹が行方不明になったと大騒ぎしているのをみると、どうしても納得がいかない。
なぜ、私たちの友達といってもよいイヌやネコがほとんど意味のない理由で大量に殺されているのにまったく報道されず、ホッキョクグマやトキにあれほど騒ぐのだろうか?
NPOは相変わらず見当外れと思われる活動をしている。
・・・・・・・・・
成長期の子供にはある特徴がある。
それは、身近な人ほど「バカにする」という傾向があることだ。成長期にはいろいろなバランスが崩れているし、また「自分で判断する」というより、むやみに反抗的になったり、親しくなったりする時期だから仕方がない。
自分が自己として確立していれば「反抗」ということは生じない。さらに、完全に自立していれば、たとえ腹の立つ相手でも「憐憫の情」が湧いてくる。
でも、自分が自立していなければ常に自分の姿を相手に写して、まるでそれを鏡のようにして反抗してくるものだ。
学生を見ていると、相手が立派であればあるほど、その相手に映った自分の姿が醜いので、立派な相手に食ってかかるという傾向がみられる。
それが「自分に近い人」となるとなおさらである。
自分と一番近く、一番自分のことを思ってくれる両親がうっとうしい。
それから見ると、少し離れていて少ししか自分のことを考えてくれない友人のほうがまだ忠告を聞くことができる。
さらに、見ず知らずの偉い人なら、あれほど両親に食ってかかっていても猫のようにおとなしく言うことを聞く。
それが悪いということではない。人間とはそういうものだ。
思春期の若者ばかりではない。大人でも半分ぐらいは同じような態度をとる。
近い人はバカにする。遠い人は尊敬する。たとえ近い人は自分の味方で、遠い人は自分の敵でも同じだ。
・・・・・・・・・
最近、名優、大女優がいなくなった。演技が下手になったのでもない、美人度が下がったわけでもない。
長谷川和夫、萬屋金之助、山本富士子、大原麗子・・・綺羅星のごとく光っていた大俳優は消えていった。
その理由は「彼らの日常生活が知れ渡ったから」だという。つまり俳優が「遠い存在」から「近い存在」になったことで、尊敬できなくなったということだ。
・・・・・・・・・
脳情報が遺伝的なDNA情報をはっきりと上回ったのは哺乳動物からだが、脳がかなりDNAを抑え込んだ最初の動物が人間だ。
だから、人間はいろいろなことで出来そこなっている。もっとも大きな欠陥は「同一の種どうし(人間同士)で殺しあうこと」だが、その他にも、嫉妬、騙し、裏切りなど欠陥が多い。
「近いものを軽んじる」というのも、人間の脳の欠陥の一部であり、その因果のために、私たちに一番、近い動物であるイヌとネコが死んでくれているのだろう。
すまない・・・
(平成22年7月1日 執筆)