日本語で「温暖」というのはどういう意味だろうか?

「暖かくで穏やかなさま」とある。そして連想する言葉としては、暖かい地方、ぽかぽか、温和、春暖、和やか、のどか、安らか・・・などが続く。

逆に「寒冷」とは、厳寒、寒風、冷雨、肌寒い、寒天・・・などを連想する。

また、日本語には「冷害」という言葉あって、「夏季の低温や日照不足のために、農作物が実らない被害」という意味で使われる。これに対して「温害」という言葉はない。

時々、気温の低い時期があると、野菜などの食料品が上がる。植物にとっては太陽の光と高い温度は大切なので、夏の盛りの時は別にして、気温が上がると生育が早くなるけれど、冷たい日が続くと作物は危ない。農家の人はもちろん、家庭菜園を一度でも経験した人は「暖かい」というのがいかに大切か身をもって感じている。

サラリーマンが転勤するときに「今度、暖かいところに変わります」と言うと、ご近所の人は「それはよかった。楽になりますね」と言うだろう。それに対して「寒いところになりそうです」という場合は「大変ですね。暖房費もかかりそうですし」と同情する。

実際にも冬の北海道では暖房費が月に3万円にもなるし、豪雪地帯は雪下ろしでくたくたになる。でも、沖縄ではコートもセーターもいらず、ほとんど10月まで半袖でのんびりと暮らすことができる。

日本は地理的に、熱帯でも寒帯でもなく、「温帯」にある。それでも生物にとっては少し寒く、着物も住まいもエアコンも持たない日本ザルの北限は東北地方で、それでも冬は寒さに震えている。

一方、「沖縄」は本土の人にとって常にあこがれである。毎年、沖縄には3万人の人が「暖かさ」を求めて移住する。そしてそのうちのある程度は定着するので、沖縄の知事さんにとってみると、移住してくる人たちに食を提供するのが一仕事になる。

沖縄の人は人柄がよいけれど、人間は貧すれば鈍するの言葉通り、苦しい生活では狡さもでるが、気軽な生活をしていてずるい人は少ない。沖縄の年間所得はあまり高い方ではないけれど、人々は陽気で親切だ。

気候が温暖で、暖かいということが人間にとっていかに大切か感じることがある。

万事、このように日本では「暖かくなることはよいことで、寒くなるという情報には警戒しなければならない」というお国柄だ。これが熱帯のフィリピンぐらいになると、さすが「寒くなる」と言うことがほとんどないので、「暖かくなるからよくなる」という印象はない。

ところで余談になるが、「地球温暖化」という呼び名はかなり特殊で、英語では普通、”climate change”と言って日本語に訳すと「気象変動」だから、温度が上がるか下がるかは表現されていない。また”global warning”という英語も使われ、この場合は「地球」ではなく「グローバル化」と同じで、「世界の温暖化」というニュアンスで、「人間社会」の意味が入っている。また、科学的には「地球」が温暖化するのではなく、「地表」の気温が変動することであり、かなり翻訳には問題がある。

(平成22627日 執筆)