小さい頃,私は体が弱く、学校にも満足に行くことができませんでした。いわば、虚弱児だったのでしょう。

それを心配したのかも知れませんが、すでに他界した私の両親は,

「汗して働いて、それで良いのよ。貧乏は恥ではないから」

といつも教えてくれました。

それを聞いて育った私は、「弱い体でも頑張って勉強して働こう」と思ったものです。今の自分がこうしているのは、両親がそのように教えてくれたからと感謝しています。

幸い,私は学校の成績は良かったので、隣のお兄さんは「天は2物を与えずって言うけど、くにちゃん、そうだね」と病気がちの私を慰めてくれたました。

人間、誰しも体を悪くしたり、運が悪ければ、人の助けになるのも仕方がありません。でも、自分一人で頑張れるなら頑張ろうという心が虚弱な私を支えたのです。

おそらく、父もそう思っていたのでしょう。「くに、無銭旅行に行こう!」といって時々,旅に連れて行ってくれました。

といっても、東京から熱海ぐらいまで列車に乗っていき、公園のベンチであんパンを食べ,駅の水道を飲むていどの事でしたが、「お金が無くても生きていける」ということを教えてくれたのでしょう。

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今、「エコポイント」というのが「経済対策」のために行われています。

テレビを買うのにエコポイントをもらう・・・つまり「自分のお金なら30型のテレビを買えるのに,人様のお金をもらって42型を買う」ということが行われています。

政府も産業界も,そして学校も、それを良しとしているように見えます。

でも、実に質の悪い乞食です。

体が弱い,食べるものにも不自由する、だから乞食をして他人様のお金を恵んでもらう、それなら判ります。

でも、テレビです。それも30型でも十分に楽しむことができるのに、さらに乞食(エコポイント=他人様のお金)をもらって大きなテレビを見たいというのですから、乞食に相違ありません。

それも、親が子どもを家電量販店に連れて行って、「エコポイントをもらって良かったわね」と言うのですから。

テレビでは子どもが「エコポイントも!」と叫んでいます。可哀想に、あの子どものタレントは小さいうちから他人に乞食を勧めているのです。

タレントになればよい、人気が出ればよい、お金が稼げればよい、乞食になることなど、問題ではないと思っておられるように思います。

日本人総家畜化と思っていたら、日本人総乞食化になりつつあるようです。そして、今の親はなにを子どもに教えようとしているのでしょうか? 得をすれば良い、お金が全てだ、と教えています。

そうすると、子どもはそれでよいと思い、人生を送ることができると錯覚しますが、やがて「子どもの頃にもらったお金だけ」、大人になったら罰を受けるでしょう。

できれば、今すぐ、エコポイントで買った家電製品と自動車は捨てて、乞食になってはいけないと教えた方が子どものためには良いことです。

人間は「物」より「魂」なのですから。

(平成22620日 執筆)