経済産業省が「温暖化対策で原発などに131兆円をつぎ込む」という記事を見て、私はショックを受けた。
世論操作で、有りもしない温暖化という幻想を作り出し、国民に恐怖を植えつけ、小学校の先生と自治体の役人を先兵として進めてきたことが,こんな結果になったのかとガッカリしたからだ。
NHKを使って世論操作さえすれば、大きな議論と困難を伴う政策もいとも簡単に実現できる。
でも、それは日本を衰退させるだろう。私たちは毎日,なんで一所懸命、やっているのか判らない。
原発は優れた電力の生産方法だから、温暖化などと絡める必要は無い。
正々堂々と原発の意味と安全性を説明して国民の理解を得るべきだし、「温暖化」などというどさくさ紛れで拡大すると、かえって原発は大失敗に終わるだろう。
これまで「人類の危機」という意味で原発に反対していたグループもさして大きな声を上げていない。
環境運動家は、すっかり温暖化で脅され、さらになにも手段が無いのに「温暖化を防げ」などと言っていたので,いまさら原発の反対もできないように見える。
かつて日本が戦争の道を一直線に進んだときも同じだった。私は軍隊が悪いとか、まして天皇陛下がおられたことが問題だなどと全く思っていない。
戦前の問題は、マスコミが戦争を煽ったことであり、事実を伝えなかったことだ。それは「村八分」の習慣が残っていた日本人が世論操作に弱いことを巧みに使ったものだった。
朝日新聞がその典型だが、戦争前は社会が戦争を望んでいると「戦争に反対する人は腹を切れ」というキャンペーンをうった。
それが、戦後,戦争反対の世論が高まると「平和、平和」と唱える。これが一人の人間なら最低だ。
経済産業省の131兆円の提案はそのまま閣議を通るだろう。
膨大な財政赤字がある現在、さらに勤労者一人あたり200万円という巨額な計画を通すのが、ここ10年も続いた温暖化恐怖の世論調査の目的だったことがこれほどハッキリした形で現れたのは驚きだった。
「温暖化防止」なら誰も抵抗できないという雰囲気はいかにも日本的である。閣議に臨む閣僚は「温暖化がどうか判らないが、ここまで来れば通すのだろう」と考える。
仮に、NHKが温暖化について正しい報道をしていたとすると、この経産省の提案はどのようになっただろうか?
おそらくは「日本経済を発展させ、よりよい生き甲斐と環境を提供するためには、原発なのか?」と言う議論を超えなければならない。
その過程で原発はさらに安全になる。
でも「温暖化」という印籠があるので、全ての議論は封殺される。
そして議論ができないということは、利権か、少数の人の考えで決まるので、それが日本の国民のためになるはずもない。
つまり、手続きが悪いのだ。
・・・密かな目的設定→NHKへの依頼(暗黙の依頼を含む)→NHKの世論操作→先生と役人の先導→世論の形成→反対すると村八分にあう雰囲気作り→国債発行の準備→国家財政破綻の予告→消費税増税→世論操作の政策実施(温暖化阻止)・・・
という順序に進む。
このような邪悪な道筋は、議論を封殺するが故に、日本を破壊する。つまり、次の手続き、
・・・日本の将来に対するオープンな議論→マスコミによる議論のための情報提供→専門家や国民の議論→おおよその方向の決定→役人による詳細計画の策定→国の委員会や閣議での決定・・・
と進むべきであり、それはずいぶん密室の決定とは違う結果になるだろう。
いずれにしても,ツバルで判るようにこの10年,誤報に誤報を繰り返し、世論操作を行い、その結果が「事実とは異なる温暖化恐怖という切り札を出して原発を推進する」ということになったのだ。
この進み方に、従来から民主主義を標榜し、平和を愛し,原発に疑問を呈してきた人はどのように反応するのだろうか?
今年は奇妙な「普天間問題」があった。
沖縄の人にとっては基地の問題はきわめて重要な課題である。戦争の時にアメリカ軍に占領されたのも事実だ。その後、長い間、占領され、産業も興らなかった。
でも、やっと少しずつ沖縄は沖縄として自立する道を探り、一部は成功しつつある。今後は、基地の経済から少しずつ抜け出しながら、かつての誇り高き沖縄を取り戻そうとしている。
そんな歴史的なことを考えると、鳩山前首相の普天間発言は「奇妙」としか言えない。
でも、世論操作し、議論しない体質を持つ限り、このような問題は永久に放置されるだろう。
総括に当たって、「不協和で苦しむマスコミ」について触れておきたい。
人間は精神が正常である限り、矛盾した行動に対して心の負担を感じる。特に、あることを「自分の意志」でするとそれがさらに負担になる。
これを「不協和」という。
精神病になると、平気になる場合がある。これを「両価性」という。
東京に住んで温暖化阻止を叫ぶ。東京こそが日本でもっとも温暖化しているところであり、そこに住む人たちがその原因を作っている。
だから本当は東京に住んで温暖化防止など言えないのだが、言う。そうすると、その心の傷を癒そうとして、自分を正当化する行動にでる。
この行動はもともと自分の心の矛盾から来ているので、激しい。それが今のNHKである。
NHKの記者は誤報をつづけていることを知っている。でも、自分の生活と人生を優先させる。その矛盾に苦しみ、そしてさらに攻撃的に「環境のNHK」を叫ぶ。
自分だけは80%もCO2を増やしている心の傷は重い。
世論操作はさらに激しさを増すだろう。
(平成22年6月11日執筆)