ここのところ、鳩山首相の話題で持ちきりだ。なんと言っても、全く見通しの無いことを言い,謝ることは謝っても責任は取らないという特殊な人が出現したのだから、当面,話題には事欠かない。

5月末、決着」というのは、「5月末に決着します」という意味ではなく、「5月末に決着したい」という希望であり、「国外、最低でも県外」というのは「国外、最低でも県外が望ましい」ということであり、「腹案があります」というのは「腹案があった方が格好がよい」ということだ。

実際は中身がなかった。

全部、希望であり、口から出任せで、「その時にみんなが良いと思ってくれることをそのまま言う」ということだ。後はどうなってもお母さんが責任を取ってくれる。

これは、私の言う「NHK症候」・・・事実を報道せずみんなが気に入ることを言う、ということと「国民総家畜化計画」・・・つまり、何も考えないことを良いこととする、ということが一緒になっている。

一つの社会現象を首相が体現している。

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ところで、この首相の病気は統合失調症と言われているが、単に「見抜く力」がないことから来ているのだろう。

つまり、自分に将来を見抜く力、事実を見る力が無いから、とりあえず「感じ」だけでものを言い、その後で考えるという順序だ。

鳩山首相は「抑止力というのを勉強したら、基地は沖縄にあった方が良いことが判りました」と言ったが、およそ首相の言うことではない。

この発言を「人が良い」とか「正直」という人がいるが、それは「権限がない人なら」という前提がつく。

首相は日本人の人生や運命、そして生活を変えることができる権限を持っている。そんな人が「方針を先に出して、その後に勉強し,理解したから方針を変える」というのはまったく落第だ。

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同じことが温暖化事件でもあった。

首相に就任してまもなく,鳩山首相は国際会議で「日本は1990年基準でCO225%削減する」と演説して嘲笑の拍手を浴びた。

温暖化の専門家なら、この発言が国際的にいかに非現実的であるかが判るし、日本が不利になることも瞬時に理解できるからである。

ところが、その時、鳩山首相は「温暖化について勉強していなかった」から,口から出任せに言っただけのことである。

その証拠に、演説が9月だが、12月になって「25%削減したらどうなるか」という委員会をやり、それで「実現不可能」というのに近い結論が出ると、その委員会を解散した。

そして、環境大臣が「首相の希望に添った結論を出す人だけの委員会を開く」という趣旨のことを言い、年が明けると御用学者だけで秘密会を開き、演説から4ヶ月も経ってから「25%削減するとどうなるか」を検討した。

順序が違う!!

もう、鳩山首相には言うこともないが、一国の首相が国際会議で検討もしていないでまかせを言ったのである。

でも、NHKも朝日新聞も、そして多くのマスコミも「鳩山首相が真剣に考えて言った」と評価し、持ち上げた。見抜けなかったのだ。

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人間が見抜く力がつくのはどのような人生を送るからだろうか。

私は次のように考えている。

1.  買い物をするときに値札を見ない、

2.  食事をするときにメニューの値段を見ない,

3.  電車に乗るときに運賃を見ない。

もし、値札を見,値段に気を取られ、運賃表を参考にするということは、自分が今からしようということの価値が判らないので、とりあえず「値段」という数値化されたものを見て,それで判断しようとしていることを意味している。

でも、見抜くことというのは、数字で判ることを自分で見抜く力である。

今は情報が溢れている。だから、すぐ何かの情報を見て、それで判断する。つまり自分が考えに考え抜いて対象を見るということがないので、見抜く力がつかないのだ。

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選挙前に鳩山首相がこんなに酷かったのが判らなかったのは、普段から私たちが「値段を見て買い物をしている」からではないかと思う。

そうでなければ、これほどの人に首相は任せなかっただろう。

そして、普通の人より数倍の情報を得ているマスコミの人は、なぜ自分たちが見抜けなかったのか,を強く考えて、それを国民に知らせるべきだろう。

(平成22530日 執筆)