昨年からレギュラー番組を持たせていただいているシアターテレビジョン(CS262チャンネルとネット配信)で数度のマスメディア論の議論を経験した。

文芸春秋の元編集長の堤さん、フジテレビ報道2001の黒岩さん、評論家の日下さん、軍事の志方さん、サンケイの高山さんなどそうそうとしたマスメディア経験者との話は有意義だった。

現代の社会でマスメディアの影響が大きいのは多くの人が認めるところで、私の関係でもNHKを中心として地球温暖化などで誤報が続き、それが世界の中で日本人だけに特殊な認識を作り出した。

・・・・・・・・・

2009年に財務大臣の奇妙な事件があった。その財務大臣はすでに病死しているので、批判は避けるとして、事件は国際的なサミットで飲んだくれて会見をしたという内容である。

表面的な事実は比較的、簡単で、お酒のみの大臣がイタリアに行って美味しいワインを飲みすぎ、ろれつが回らない状態で記者会見をして国際的な批判を浴びて退任したということだ。

日本にとっては赤恥をかいたのだから、許すことは出来ないが、マスメディアはこの事件でもあまり有用では無かった。

この事件で私が知りたかったことは2つ。一つが財務省の役人は大臣に注意が出来なかったのかという点、二つ目がしばしば問題になる「番記者」と大臣の癒着である。

金融財務関係のサミットだから、日本の財務金融関係の重要な役人は大臣に同行している。その役人はあの状態で大臣が記者会見をしたら、国際的な恥をかき、日本の国益に反することを知っていただろう。

それなのに記者会見を行ったのはどういう理由か?普段から大臣が威張り腐っていて国益より感情を先んじたのか、それとも官僚ばかりが批判されるので、政治家もこれほど腐っているというのを示すための陰謀か、いろいろ考えられるが、サッパリ真相はわからない。

番記者の問題も同じだ。この場合は読売新聞の越前谷知子さんという若い美人の記者が同行していたが、この記者は中川さんがどこかに行くときにはいつも一緒で、夕食やお酒を飲みに行き「お酌記者」とも呼ばれていたと言う。

読売新聞を購読している人は、記者が大臣とワインを飲むために購読料を支払っているのだろうか。そうではない。仮にワインを飲んだとしても、自分のお客さんである読者にそれに相当する有用な記事を書くために飲むのである。

このことについて当の読売新聞も読者に十分な説明を行っていないと言われている。むしろ彼女の関係している記事やウエブをすぐ消して「騒ぎ」を小さくするように画策したとされている。

・・・・・・・・・

こんなことがあって2010年の4月。宮崎で口蹄疫の感染が見つかった。

厳密に言えば、3月に疑いのあるウシが見つかり、その結果が陽性だったことが4月の始めにわかったのだ。

農林水産省はすぐ対策本部を作ったが、赤松大臣と民主党の動きは鈍く、流行が本格的になる兆しをみせていた4月終わりに赤松大臣は南アメリカに外遊に行く。

いままで野党で甘んじていた議員にとっては大臣になってからの外遊ほど美味しいものはないだろう。南アメリカでどういう旅をしてきたのか、その成果はどんなものだったのか、マスメディアは詳細に報じなければならないだろう。

かくして口蹄疫は猛威をふるい、517日になって首相を本部長にした本部ができた。もちろん口蹄疫の流行は国家的な事件だが、あくまでも農林水産省が表に出るものであり、専門的に対処する事件である。

この事件でも、赤松大臣が肝心なときになぜ国を離れたのか、そしてこれまでも流行したことがあり、きわめて危険な病気であることも判っていたのに、流行の撲滅にどのような措置を執ったのか、サッパリ報道されない。

・・・・・・・・・

もちろんNHKはどうにもならないが、日本にはマスメディアは多いのに、このような肝心なことが報道されず、一体「政府というのは国民を守らないのか」と思わせるほどの状態である。

またメディアの「東京ボケ」というのもあるだろう。東京から遠く離れた九州南部のことは知らないよというのはいつも感じるところである。

まして消費者庁が誕生したのに、消費者庁担当大臣は手遅れになってから宮崎に行っている。

ただ、財務大臣の時も、今回もネットというのがあるので、ある程度の情報を得ることができる。テレビや新聞で「どうも女性記者がいつも同行していたらしい」というような情報がすこしでもあれば、それを手がかりにネットで調べていくと、女性記者の行状、読売新聞の対応、仲間を隠す記者クラブなどは見えてくる。

ネットがあって良かった。

「20100518media1.mp3」をダウンロード

(平成22518日 執筆 音声あり)