女性のとって中年太りほど怖いことはないかも知れない。それは単に体重が増えると言うことだけではなく、なんとなく下の方に肉がついて来るからだ。
人間、だれもが少しずつ歳を取るので、ダメになっていくのは仕方がないが、「なぜ、中年になると太るのか」を知っておいた方が対策は立てやすい。
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人間はなぜ食べるのだろうか? もちろん、エネルギーと化合物合成をしなければならないからだ。エネルギーだけなら毎日のようにお米か脂肪だけを取っていれば良いけれど、細胞も入れ替えなければならないし、病原菌と戦う白血球や防御物質も作らなければならない。だから、亜鉛もレバー(コバルト)もほうれん草(鉄)もいるということになる。
でも、生物というのはとても節約家だから、「使わない」ということになるとすぐ廃棄する。その一番良い例が「歩かないと骨の成分をおしっこから出す」というものだ。
1日半もジッとしていると、おしっこにカルシウムが2倍も排泄される。「骨はいらない」と体が判断するからだ。
それと同じように女性も40歳を越えると、子育ても一段落するから「筋肉はそれほどいらないだろう」と体が思って筋肉を落としていく。
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カロリー(つまりエネルギー)が必要なのは「力を出すとき」だ。車でも走ろうと思ったら力が必要で、その力を出すためにガソリンがいる。それと同じで人間でも筋肉を使って力を出そうとするとエネルギーがいる。
若い頃は、掃除洗濯、買い物、子育てと力のいる仕事ばかりなので、女性でも結構、筋肉が付いている。でも40も過ぎると少しずつ筋肉が減る。その原因は、
1) もともと体が筋肉がいらないと判断する、
2) 実際の生活でも重たい赤ちゃんを長く抱くような辛いことが無くなって筋肉が衰える、
というダブルパンチで筋肉が落ちる。
筋肉が落ちると、筋肉を使うときに消耗するカロリーがいらない。また夜、寝ているときにも基礎代謝で消耗するカロリーが下がる。
あれやこれやで、必要なカロリーが減る。
ところが本人はそう思っていないから、若い頃と同じように食べる。いらないのに食べるから太る。そして筋肉が減っているので、体の肉は下の方に落ちる。
最悪なのだ。
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対策は2つある。一つは、若い時ほどでもなくても良いから筋肉を使うことだ。これまでは自分が子育てをして旦那さんがお風呂掃除をしていたら、これからは自分でお風呂を洗う。風呂を洗うのは結構、筋肉を使うのでスタイルを整えるのには良い。
「立っているものは親でも使え」というように、中年になると動くのがおっくうになってちょっとしたことでも人に頼んだり、電車にのっても若い頃の恥じらいが無くなるので、すぐ座ろうとする。
そんなことを昔に戻す。これが一番、よいことだ。家族も感謝してくれるし、家は片付くし、疲れるので夜はよく寝れるし、それにスタイルが良くなるのだから、一石二鳥どころではない。
つまり、子育てが終わって自然に筋肉が落ちるのだが、それは人生50年の時に、40歳からの晩年の10年間は「おばあちゃん」だったから良いし、そのDNAはそんなに容易には変わらない。
そこで、人生80歳の時には、それなりに工夫がいるということだ。少し辛いけれど、40歳と言えばまだ若い。中年太るするより、少し筋肉を動かして若く元気な人生を40年楽しんだ方が良いように思う。
最後に念を押しておきたいが、「運動してエネルギーを使う」のではなく、運動して筋肉をつけ、その筋肉の基礎代謝でカロリーを消費すると思った方が、ダイエットには有効だろう。
(平成22年4月30日 執筆、音声あり)